【コラム】第7回 保険ブローカーから見たシュアティボンドの活用方法について

2021.12.14 連載コラム

ナレッジパートナー:須知 義弘


今回は、前回に引き続きシュアティボンドの引受に関連する事項について説明していきたい。これまでにも説明しているようにシュアティボンドは、Principal(債権者)、Obligee(債務者)、Surety(保険会社)の3者間の契約であり、この中で最も重要なものがIndemnity Agreement (IA) またはDeed of Indemnity (DOI) と言われる保証委託契約である。この契約は、シュアティボンドを発行したSuretyが損害を被らないようにする為に(もちろんObligeeが倒産してしまった場合には損害を被るが)、Obligeeの法的な役割を謳ったものであり、通常、個別のシュアティボンドに適用になるのではなく、SuretyがObligeeの為に発行するシュアティボンドの全てに適用になる。

IA/DOIの内容の主な点は、個別の契約によるが、以下の通りである。

  • Indemnity: Suretyが被った損害に対して、Obligeeが補償をするといったIA/DOIの根幹をなすもの。
  • Assignment and Collateral: ObligeeがSuretyに補償をする為に、Obligeeが持っている権利を担保としてSuretyに提供する。
  • Settlements: 発行されているシュアティボンドに関して判断が必要となるあらゆる事項に関して、Suretyがそれらを決める権利を持っている。
  • Termination: 数日前(たとえば20日前)のObligeeからの書面による通知により、IA/DOIは解除することが可能(逆に解除されない場合は、永久に有効である)。但し、すでに発行されているシュアティボンドや、ボンド自体は発行されていなくてもSuretyがすでに発行することを約束してしまった契約に関しては解除が適用にならない。

また、ケースバイケースではあるものの、IA/DOIには、通常、Power of Attorney(いわゆる委任状で、Obligeeの署名者が代表者でない場合、会社からその者がサインする権利を委任されていることを示す書類)や公証が必要となる。また、IA/DOIの法的有効性を確認する為に、弁護士意見を取得することもある。

海外において日本の子会社がObligeeとなり、シュアティボンドを発行してもらう場合は、IA/DOIに加えて、親会社がGeneral Indemnity Agreement (GIA) に署名することが多い。これは、子会社の信用力があまり高くない場合、本来Obligeeが負うべき責任を親会社が保証する為の書類である。内容はIA/DOIと似ているが、特徴的文言として、親会社自身、子会社(当該Obligeeに限られない)または関連会社が倒産したり、支払不能に陥ったり、借入がある時にその融資契約の条件に違反したり、それらの資産を売却したり、また第三者がそれらの株式の50%超を取得したりする場合には、担保を差し入れる必要があると述べられている(尚、これらの文言は、「“重要な”子会社/関連会社に限る」ことも交渉によっては可能である)。

他の書類としては、Facility LetterまたはTerm Sheetがあり、これには、Obligeeのリスクに対して、Suretyがいくらの金額まで、どのぐらいの料率で保証できるかが、確約はしていないものの、その他の条件と合わせて記載されている。Facility Letter/Term Sheetは、IA/DOIと違い、通常、Suretyがリスクを毎年見直した後、更新される。

須知義弘

*アイキャッチ Photo by Annie Spratt on Unsplash

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