2024.04.25
【コンセッション】浜松市、下水道運営にコンセッション方式を採用/仏ヴェオリア社らを優先交渉権者に選定/運営権対価は25億円
2017.03.24 コンセッション
提案審査では「施設運営方針」と「運営権対価」で採点に開きが
資格審査を通過し提案審査に臨んだのは2グループだ。前述のヴェオリア・ジャパンのグループ(Aグループ)と株式会社日立製作所と株式会社ウォーターエージェンシーが組むグループ(Bグループ)だ。
それぞれの提案内容についての採点結果は下記の通りである。事業提案(計画)についてはそれほど差がないものの、施設運営方針に関する項目と運営権対価に関する項目では大きく差が開いたことが分かる。
項目 配点 Aグループ Bグループ
Ⅰ 施設運営方針に関する項目 60 45.54 33.93
1 全体事業計画 15 12.32 9.64
2 業務体制等 15 11.79 7.50
3 収支計画等の妥当性 20 12.86 11.43
4 地域貢献(地域の活性化) 10 8.57 5.36
Ⅱ 事業提案(計画)に関する項目 100 62.32 58.04
1 LCC縮減に関する妥当性 20 10.00 10.71
2 改築に関する項目 30 21.07 15.89
(1)実水量に応じたポンプ設備の改築技術 5 3.75 2.86
(2)環境負荷低減に繋がる汚泥処理設備の改築技術 20 13.57 10.71
(3)施設管理業務の効率化に関する中央監視設備の改築技術 5 3.75 2.32
3 維持管理に関する項目 30 16.25 21.44
(1)負荷変動に対応する強靭な下水処理 15 7.50 11.79
(2)持続性のある汚泥処理 10 5.71 6.79
(3)設備保全及び環境保全のための効果的な対策 5 3.04 2.86
4 リスク対応、モニタリング 20 15.00 10.00
(1)リスクへの対応 10 7.86 6.79
(2)適正な管理 10 7.14 3.21
Ⅲ 運営権対価に関する項目 40 40.00 19.20
合計 200 147.86 111.17
優先交渉権を獲得したAグループの提案は「オペレーショナル・エクセレンス」、「官・民・地元パートナーシップ」、「西遠スマートプラットフォーム」の3つのテーマでまとめられていた。(*Aグループの提案内容については浜松市のホームページで見ることができる。)
「オペレーショナル・エクセレンス」として、送風量制御システムを導入といった運転改善や人材育成をすることにより、高レベルでの施設の運転維持管理ができる組織を目指す。さらにISO55001(アセットマネジメントシステム)を導入することでマネジメントサイクルを確実に回すことも計画されている。
新しい官民連携のかたちとして「官・民・地元パートナーシップ」が示され、下水道と浜松市特産のうなぎのコラボレーションによる養鰻パイロット事業や汚泥可溶化と消化プロセスによる消化ガス発電事業の検討が提案されている。これらが実現すれば、利用料収入の他に、新たな収益源を確保することも今後可能になる。
「西遠スマートプラットフォーム」ではスマートな維持管理の在り方が提案された。多機能タブレットシステムを導入し、保守管理支援ツールや点検業務支援ツール等各種ツールを利用することで、業務の効率化や技術継承などに役立てる。
採点結果に開きが出た運営権対価のAグループの提示額は25億円。事業開始までにこの4分の1が支払われ、残りについては事業期間にわたり分割で支払われる計画である。
VFMについては、市が自ら運営した場合と事業運営権者(Aグループ)が運営した場合との予定事業費総額(現在価値に換算したもの)の比較が行われ、金額ベースで約86億円、割合ベースで約14.4%の縮減が期待できることが確認された。
【情報ソース】
・浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業、平成29年3月21日、浜松市
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