【寄稿】再エネ施行規則の改正省令の公布(2)

2021.01.11 ナレッジ

ナレッジパートナー:越元 瑞樹


TMI総合法律事務所
弁護士 越元瑞樹

1. 再エネ特措法施行規則の一部を改正する省令の公布について(2)

前回「再エネ特措法施行規則の一部を改正する省令の公布について(1)」においては、太陽光発電事業に関して扱ったが、今回(2)においては、風力発電事業及びバイオマス発電事業について扱う。前回(1)において記載の通り、強靱かつ持続可能な電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律(以下「エネルギー強靭化法」という。)の成立に伴い、再エネ促進法第14条第2号において、FIT認定案件のうち長期運転開始されていない案件については、失効期限を設けてそれを超えて運転開始できない場合には、FIT認定を失効させる制度(以下「本失効制度」という。)が新設され、本失効制度の省令である電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(令和2年経済産業省令第85号)(以下「本省令」といい、本省令による改正後の施行規則を「改正本施行規則」という。)が2020年12月1日付で公布されている。

2. 風力発電事業及びバイオマス発電事業に関する失効制度の適用関係

風力発電案件及びバイオマス発電案件については以下の条件で失効することとされている。

(1) 風力発電案件の場合
① 2018年3月31日以前に認定(2016年3月31日以前の認定案件については、2018年3月31日までに接続契約が締結された場合に限る。)を受けた風力発電案件(改正本施行規則附則第3条第1号)

(i)それぞれ以下の時点(以下「基準時」という。)までに、系統連系工事着工申込書が受領されていない場合

  1. 原則:
    2025年11月30日(2020年12月1日(改正本施行規則の公布の日)から起算して5年後の日)
  2. 例外①(認定申請の際現に環境影響評価法に基づく環境アセスメント(以下「法アセス」という。)を行っている場合):
    2029年11月30日(2020年12月1日から起算して9年後の日)

  3. 例外②(2020年12月1日時点で現に地方公共団体が制定する条例に基づき行われる環境影響評価(以下この条において「条例アセス」という。)を行っている場合):
    2026年8月31日(2020年12月1日から起算して5年9か月後の日)

失効期限:

  1. 原則:
    2025年11月30日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に5年を加えた期間)
  2. 例外①(認定申請の際現に法アセスを行っている場合):
    2029年11月30日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に9年を加えた期間)
  3. 例外②(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2026年8月31日(2020年12月1日から起算して5年9ヶ月後の日)

(ii)各基準時までに、系統連系工事着工申込書が受領されている場合の失効期限

  1. 原則:
    2028年11月30日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に8年を加えた期間)
  2. 例外①(認定申請の際現に法アセスを行っている場合):
    2032年11月30日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に12年を加えた期間)
  3. 例外②(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2029年8月31日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に8年9ヶ月を加えた期間)

(iii) 各基準時までに、系統連系工事着工申込書が受領され、かつ、開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された場合の失効期限

  1. 原則:
    2044年11月30日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に24年を加えた期間)
  2. 例外①(認定申請の際現に法アセスを行っている場合:
    2048年11月30日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に28年を加えた期間)
  3. 例外②(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2045年8月31日(認定を受けた日から2020年12月1日までの期間に24年9カ月を加えた期間)

② ①及び③を除く風力発電案件(改正本施行規則第13条の2第1項第2号イ乃至ハ)

  1. 認定日から5年(認定申請の際現に法アセスを行っている場合には9年)後の日までに系統連系工事着工申込書が受領されていない場合
    失効期限:認定を受けた日から起算して5年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、9年)
  2. 認定日から5年(認定申請の際現に法アセスを行っている場合には9年)後の日までに系統連系工事着工申込書が受領されている場合
    失効期限:認定を受けた日から起算して8年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、12年)
  3. 認定日から5年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領され、かつ、開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された場合
    失効期限:認定を受けた日から起算して24年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、28年)

③ 海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(以下「再エネ海域利用法」という。)に基づく洋上風力発電案件(以下「一般海域洋上風力発電案件」という。)(改正本施行規則第13条の2第1項第2号ニ乃至ヘ)

  1. 選定事業者が公募占用計画に記載した洋上風力発電事業の実施時期の起算日(以下「事業実施時期起算日」という。※)から1年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領されていない場合 失効期限:認定を受けた日から事業実施時期起算日までの期間に1年を加えた期間
  2. 事業実施時期起算日から1年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領されている場合 失効期限:認定を受けた日から事業実施時期起算日までの期間に4年を加えた期間
  3. 事業実施時期起算日から1年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領され、かつ、開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された場合 失効期限:認定を受けた日から事業実施時期起算日までの期間に20年を加えた期間

※一定の例外的な場合には、選定事業者が再エネ海域利用法第18条第1項に基づき変更の認定を受けた洋上風力発電事業の実施時期の起算日とする(改正本施行規則第13条の2第1項第2号ニ)。

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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