【寄稿】再エネ施行規則の改正省令の公布(2)

2021.01.11 ナレッジ

ナレッジパートナー:越元 瑞樹


(2)バイオマス発電設備の場合
① 2018年3月31日以前に認定(2016年3月31日以前の認定案件については、2018年3月31日までに接続契約が締結された場合に限る。)を受けたバイオマス発電案件(改正本施行規則附則第3条第3号)
(i)それぞれ以下の時点(以下「基準時」という。)までに、系統連系工事着工申込書が受領されていない場合

  1. 原則:
    2025年11月30日
  2. 例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2026年8月31日

失効期限:

  1. 原則:
    2025年11月30日
  2. 例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2026年8月31日

(ii)各基準時までに、系統連系工事着工申込書が受領されている場合の失効期限

  1. 原則:
    2028年11月30日
  2. 例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2029年8月31日

(iii) 各基準時までに、系統連系工事着工申込書が受領され、かつ、開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された場合の失効期限

  1. 原則:
    2044年11月30日
  2. 例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):
    2045年8月31日

② ①を除くバイオマス発電案件(改正本施行規則第13条の2第1項第4号)

  1. 認定日から5年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領されていない場合の失効期限
    認定を受けた日から起算して5年
  2. 認定日から5年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領されている場合の失効期限
    認定を受けた日から起算して8年
  3. 認定日から5年後の日までに系統連系工事着工申込書が受領され、かつ、開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された場合の失効期限
    認定を受けた日から起算して24年

(3)系統側の都合で連系開始日が遅れた場合の対応
上記(1)(2)のいずれの場合についても、系統連系工事着工申込書が受領された後、系統連系工事の事情によって接続予定日が遅延した場合には、当該遅延した期間を失効期限に追加することとされていることは太陽光発電事業と同様である(改正本施行規則第13条の2第3項)。

(4) 風力・バイオマス発電案件に関する本失効制度についてのポイント
風力・バイオマス発電案件に関する本失効制度については以下の点が重要であると考えられる。

 ① 運開期限の1年後の時点の進捗状況で適用判断する。
 ② 系統連系工事着工申込がなされているかどうかによって区別する。
 ③ 工事計画届出が不備無く受領された場合又は環境影響評価書の確定通知を受けている場合で区別する。

なお、本省令については、2020年9月付電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等の概要(以下「本省令案概要」という。)が示されたうえで、2020年9月7日付でパブリックコメント手続に付された。2020年11月13日付で当該パブリックコメントの結果(以下「本パブリックコメント結果」という。)が公表されているが、本パブリックコメント結果において風力発電事業及びバイオマス発電事業に関連して以下の点が言及されている。

No.概要
19太陽光発電以外の電源について、新たに運転開始期限が設定されるが、系統連系⼯事着⼯申込及び工事計画届出等の受領期限⽇について、新たに設定される運転開始期限から1年後を期限とすることが確認されている。
37系統連系工事着⼯申込みについて、太陽光発電以外の電源についての詳細な運用(申込可能な時点、申込手続の詳細、受領時期)については、今後検討の上、ウェブサイト上で公開されることが確認された。
45⾵⼒発電事業及び地熱発電事業については、認定の申請の際現に法アセスを行っている場合には、失効期間が延長されているところ、同様にバイオマス発電事業に関しても認定の前後で当該事業に係る法アセス又は条例アセスを行っている場合については同様に失効期間を延長すべきであるというコメントに対しては、条例アセスについては特に失効期間の延長の配慮はしておらず、またバイオマスについては、2018年3⽉時点で、法アセスの必要な大規模な発電事業は想定されていないという考え⽅に基づき2018年4月の認定案件に適用されており、失効制度についても同様の取扱いとすることが確認されている。
65風力発電と一般海域洋上風力発電案件について失効制度の適用関係を区別するのかどうか等に関してコメントがなされ、これを受けて一般海域洋上風力発電案件については、運転開始期限⽇と失効期間については上記の通りその他の風力発電案件とは区別して規定されることとなった。
85バイオマス発電事業に関しては、電源接続案件募集プロセスによる運転開始期限の延⻑を求めるコメントに対して、事業者間の公平性に鑑み、特定の電源のみ特別に配慮しない旨が確認されている。
102⾵⼒、⽔⼒、地熱、バイオマスの各発電設備については、2018年度認定案件から、電源ごとに⼀律の運転開始期限が設定されているが、2012年度から2017年度までに認定を受けた案件には運転開始期限が設定されていない。そこで、①価格の適時性、②事業者間の公平性の確保から、2012年度から2017年度までの認定案件に対して、事業者の予⾒可能性を確保する観点も考慮し、2020年12月1日を起算点として運転開始期限を⼀律に設定することが確認され、当該内容は価格告示に規定されている。
2017年以前にFIT設備認定を取得したバイオマス発電についても、運転開始期限の設定対象となることが確認されている。
1042017年度までに認定を受けた⾵⼒、⽔⼒、地熱、バイオマスの各発電設備は運開期限が付与されていないことから、今回の措置が決定した⽇をみなし認定⽇として取り扱いすることによって、運開期限を⼀律に設定することの意義があり、明確化ができるので、みなし認定⽇の設定をしてもらいたいというコメントに対して、①価格の適時性、②事業者間の公平性の確保から、2012年度から2017年度までの認定案件に対して、事業者の予⾒可能性を確保する観点も考慮し、みなし認定⽇ではなく、2020年12月1日を起算点として運転開始期限を⼀律に設定することとしている。
 

太陽光発電事業を含めた失効期間については以下の表の通り整理できる。なお、あくまで理解を促進するために作成された表であるため簡略化した部分もあり、正確な記載については本文の記載をご参照いただき、また具体的な案件検討については個別に問い合わせをいただきたい。

着工申込なし着工申込あり着工申込あり+開発工事への準備・着手の公的手続確認あり
① 太陽光(2022年4月1日時点で運開期限を徒過している既認定案件)2023年3月31日2025年3月31日2042年3月31日
② ①以外の太陽光認定を受けた日から起算して4年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、6年)認定を受けた日から起算して6年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、8年)認定を受けた日から起算して23年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、25年)
③ 風力(2018年3月31日までの既認定案件)原則:2025年11月30日
例外①(認定申請の際現に法アセスを行っている場合):2029年11月30日
例外②(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):2026年8月31日
原則:2028年11月1日
例外①(認定申請の際現に法アセスを行っている場合):2032年11月30日
例外②(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):2029年8月31日
原則:2044年11月30日
例外①(認定申請の際現に法アセスを行っている場合:2048年11月30日
例外②(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):2045年8月31日
④ ③及び⑤を除く風力認定を受けた日から起算して5年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、9年)認定を受けた日から起算して8年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、12年)認定を受けた日から起算して24年(認定申請の際現に法アセスを行っている案件については、28年)
⑤ 一般海域洋上風力発電案件認定を受けた日から事業実施時期起算日までの期間に1年を加えた期間認定を受けた日から事業実施時期起算日までの期間に4年を加えた期間認定を受けた日から事業実施時期起算日までの期間に20年を加えた期間
⑥ バイオマス(2018年3月31日までの既認定案件)原則:2025年11月30日
例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):2026年8月31日
原則:2028年11月30日
例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):2029年8月31日
原則:2044年11月30日
例外(2020年12月1日時点で現に条例アセスを行っている場合):2045年8月31日
⑦ ⑥を除くバイオマス認定を受けた日から起算して5年認定を受けた日から起算して8年認定を受けた日から起算して24年
 

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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