【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第13回 2019年上期(第1回~第12回)総集編

2019.07.18 連載コラム

ナレッジパートナー:桶本 賢一


 ご縁あってインフラトのサイトにコラムを掲載させて頂くようになってから、早いもので半年が経過した。「コラム」とはいっても、毎回読み切りの雑感ではなくテーマがシリーズものになっており、また最近このサイトの読者になられた方もおられることから、今回は予定を変更して第1回から第12回までの2019年上半期の小欄の「総集編」をお届けすることとしたい(連続ドラマ等によくある「これまでの総集編」的な回とお考え頂きたい)。

 「インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から」というタイトルの通り、本コラムは主にインフラプロジェクトのデベロッパー・スポンサー(株主)またはプロジェクトカンパニー(プロジェクトファイナンスの借入人)の視点から、これまでいくつかのテーマをとりあげてきた。具体的には以下の通りである(一部は初稿から修正済)。

第1回 キャッシュ・フロー・モデル(実践と座学の組み合わせによる実務能力向上)
第2回 プロジェクトカンパニーの設立と運営(1)
第3回 プロジェクトカンパニーの設立と運営(2)
第4回 株主間協定書(1)株主決議と取締役の任命
第5回 株主間協定書(2)経営陣の任命、利害衝突、準拠法等
第6回 「沈黙の艦隊」と「きゅうり」とロンドン保険市場
第7回 工事保険(プロジェクトカンパニーにおける実務上の留意点)
第8回 操業保険(プロジェクトカンパニーにおける実務上の留意点)
第9回 インフラプロジェクトの収益性評価
第10回 エクイティIRRの概要と限界例(1)
第11回 エクイティIRRの限界例(2)
第12回 プロジェクトカンパニーの会計上の損益

 記念すべき第1回では、拙著(共訳書)「ストラクチャードファイナンス Excelによるキャッシュ・フロー・モデリング」のご紹介とあわせ、「モデル実務能力の習得・向上には、実践と座学の組み合わせが有効」という、実体験に基づく筆者の考えについて記載した。「座学」については、インフラトの「イベント・セミナー情報」のページが、日本国内(主に都内)で開催されるインフラ関連の各種セミナー情報が充実しているので、コラムの読者諸氏にはぜひ有効活用して頂きたい。第1回コラムでご紹介したEuromoneyの講座(海外開催、英語)については、紹介者責任を全うすべく(?)筆者も現在e-Learning 講座を受講中である。無事受講終了の暁には、受講レポートを本コラムで「実況中継」風に掲載してみたい(ちなみに筆者が高校生時代にお世話になった「実況中継シリーズ」の参考書は、某K塾のI先生の日本史であった。気になって調べてみたところ、30年近くたった今でも、改訂・電子書籍版が発売中のようである)。

 第2回および第3回では、「プロジェクトカンパニーの設立と運営」と題し、グリーンフィールド案件とブラウンフィールド案件の違い、ファイナンス・クローズ(ドライとウェットの違い)と貸出先行要件(Conditions Precedent、CP)の概要、「ファイナンス・クローズは大きなマイルストーンではあるものの、長い事業期間の始まりに過ぎない」点等について記載した。

 続く第4回および第5回では、プロジェクトカンパニーの設立・運営に際して締結が必要になる、株主間協定書(Shareholders Agreement)に関する実務上の留意点について考察した。特に株主総会と株主決議、取締役の任命、経営陣の任命、株主間で利害衝突がある場合の決議、準拠法と紛争解決手続き等について考察した。

 第6回ではロンドン保険市場について、第7回第8回ではそれぞれ工事保険と操業保険の概要およびプロジェクトカンパニー(被保険者)における実務上の留意点について記載した。工事保険および操業保険の概要については、レンダー、(再)保険会社、ないしは保険ブローカーの視点からの解説は各種書籍や他のサイトにも記載されているが、被保険者による求償手続きや工事保険期間延長の実務については、筆者の知る限りでは他の媒体では記載例の少ない内容となっている。工事保険から操業保険への切り替えや、譲渡(Assignment)担保設定に関する再保険会社への通知(Notification)および再保険会社からの了承(Acknowledgement)等の実務については、後日改めて取り上げることとしたい。

 第9回では、「インフラプロジェクトに参画する投資家は、収益性をどのように評価するのか?」という点について、個人投資家の場合と、事業法人を含む機関投資家(デット投資とエクイティ投資)の場合について考察した。コラム本文には記載していないものの、デット投資家としてプロジェクトファイナンスにシニアレンダーとして参画する場合には、バーゼルⅢ規制による影響も考慮すべきであろう。続く10回および第11回ではエクイティ投資家を念頭に、プロジェクトIRRとエクイティIRRの違い、エクイティIRRの限界例、ハードルレートの考え方等について取り上げた。

 第12回は、特に本邦事業法人において、エクイティIRRに加えて、会計上の利益(特に純利益)が重視される理由等について記載した。プロジェクトカンパニーにおける会計基準と監査法人の決定後は、プロジェクトカンパニーの財務諸表作成の実務となり、これが次回以降のコラムのテーマとなる。

 以上、2019年上半期の計12回のコラムについて振り返ってみた。今後もインフラトに掲載されている別のコラム(「プロファイバンカーの視座」等)とあわせてご覧頂ければ幸いである。

注)本稿の内容や意見は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。
  コラムで取り上げて欲しいテーマがあれば、プロフィールに記載の連絡先まで個別にご連絡下さい。

桶本賢一

【バックナンバー】
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第12回 プロジェクトカンパニーの会計上の損益
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第11回 エクイティIRRの限界例(2)
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第10回 エクイティIRRの概要と限界例(1)
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第9回 インフラプロジェクトの収益性評価
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第8回 操業保険(プロジェクトカンパニーにおける実務上の留意点)
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第7回 工事保険(プロジェクトカンパニーにおける実務上の留意点)
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第6回 「沈黙の艦隊」と「きゅうり」とロンドン保険市場
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第5回 株主間協定書(2)経営陣の任命、利害衝突、準拠法等
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第4回 株主間協定書(1)株主決議と取締役の任命
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第3回 プロジェクトカンパニーの設立と運営(2)
【コラム】(インフラプロジェクト事業開発・運営の現場から)第2回 プロジェクトカンパニーの設立と運営(1)

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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