【講演録】米国道路PPP

2019.10.30 ナレッジ

ナレッジパートナー:中村 裕司


■国土交通省PPP協定パートナー主催 令和元年「PPP/PFI 公民連携セミナー」
■セミナータイトル:「これからのインフラ・道路における官民連携について」
■開催日:2019年09月20日


司会: それでは時間が参りましたので、残るご講演2つになります。4番目の事例の発表に移りたいと思います。株式会社ISSグループ本社代表取締役中村裕司さまによる「米国道路PPP」です。中村さまよろしくお願いいたします。

中村裕司氏(以下、「中村」): 皆さん、こんにちは。ISSの中村と申します。今日は自治体の皆さんが半分くらいという風にお聞きしているんですけれども、僕のテーマはこんな感じなんで、自治体の皆さんに興味をお持ちいただけるかどうか若干心配をしています。実は今日あのもう一つ心配事がございまして、気楽な気持ちでやって来ましたら、あの辺にですね、我が社の親会社の会長が来ちゃったんです。なので、真面目に話をしないといけないなと思って(会場笑い)ちなみに我が社の親会社はスバル興業株式会社と申しまして、あちらの方にいる白髪のおじさんが我が社の親会社の会長でございます。どうぞお見知りおき頂ければと思います。

では、早速はじめさせて頂きます。最初に世界のPPPということで、PPPって世界中ではどうなっているんだということを概観しておきたいと思います。 概観する前に、あの~、民間企業さん、それから自治体さん、2種類の団体の方がいらっしゃると思うんですが、僕の結論をですね、一番最初に申し上げておきたいと思います。 「日本において、このPPP事業というのは発展するか、発展しないか。」その結論を僕の直感でみなさんにお伝えをしておきたいと思います。日本国においてはPPP事業は発展しないと思っています。それは諸外国に比べて、日本の官公庁というのは実は行政職員さんがしっかりしているんですね。PPP事業ってどんな国で発展するかと言うと、行政府がしっかりしていない所で発展するんです。当たり前ですよね。行政府に任していられないから、民間企業が活躍する場ができるんです。でも、我が国は霞が関を筆頭に、行政府は極めてしっかりしていると僕は思っております。だから、発展しません。

一方で、もうひとつの結論は「大きな政府」を選ぶか、「小さな政府」を選ぶか。小さな政府を選ぶ国はPPP事業を発展させなければならない。日本はというと中よりちょっと大きめの政府です。これを小さくしたいというんだったら、PPP事業を発展させなければいけない。すなわち、僕の結論は「この国は発展しないだろうけれども、発展させなきゃいけないという使命を持っている」。こういうことを最初に、念頭に置いて頂きながらお話を聞いてください。次に参ります。

世界のPPP事業というのは、だいたいこんな感じです。

全体で10兆ドルあります。そのうちの半分が、この道路なんですね。国別に見ますと、ヨーロッパでやっぱり道路が突出している。ほぼ、2.4兆ドル。ですから、250兆円ぐらいということでしょうかね。 そんなのが世界のPPP事業です。もう一つ言い忘れました。PPP事業って「事業」ですから、案件じゃないんです。1個目に愛知道路コンセッション株式会社(ARC)、ARCさんの社長さんからご説明がありましたが、経営をしなければいけない。経営は民間事業がやるんです。したがって収益を求められます。PPP事業と公共事業は何が違うか。民間は儲けなければいけない。行政府は民間と行政府の間でのリスクの分担をしっかりと規定しなければいけない。この2つです。次へ参ります。

で、どんな風にやっているか。儲けたい会社が世界でたくさんあります。そんな方たちがお金を投資して、道路・水道等のインフラにお金をつぎ込んでます。どれくらいつぎ込んでいるか。こんな感じです。

第一位と第二位ともに、スペインのコンセッショネアと呼ばれているところです。どれくらいのお金を突っ込んでいるか。ACSという会社は約752億ドル。日本円にしますと8兆円ぐらいをつぎ込んでいるということですね。上位10社でどれくらいでしょう・・・・43兆円ですね。43兆円が世界のインフラのPPP事業にお金が出資されている。このお金は戻ってこないお金です。じゃ、どのくらいこういう人たちが儲けているんだろうかというのが次です。

運営するインフラ別に少しづつ期待収益率は違います。一番低いのが既存の有料道路ですね。8%~12%。一番大きいのは新設の有料道路で、13~17%ぐらい。欧米ではやっぱり15%前後位が稼げないと投資をした意味がない。そういう風に言われておりますが、日本の場合は色んな規制もありますから欧米並みの期待収益率を望むということは大変難しい社会になっていると思います。次へ参ります。

そういう資金をどうやって調達しているかというお話が次です。通常は負債と資本。資本と言うのは帰ってこないお金です。負債は返さなきゃいけないお金です。その比率が小さくて負債が60%、多くて80%。逆に資本の方は少なくて20%、多くて40%位だと言われております。その負債の中身というのが3つに分かれております。シニアローン、それからメザニンローン、それから劣後債。シニアって言うのは最初に返していただけるお金です。メザニンというのは中二階という意味ですから、2番目に早く返してもらえるお金。そして3番目、一番危険を伴うのが劣後ローンというやつです。

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
東京モデリングアソシエイツ
ISS-アイ・エス・エス

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