【講演録】米国道路PPP

2019.10.30 ナレッジ

ナレッジパートナー:中村 裕司


こっから先はさっきから申しておりますアベイラビリティ・ペイメント、あの、アベイラビリティ・ペイメントって多分地方自治体の皆さんでご存知の方は少ないんではないかと思うんですけれども。2019年、日本でいま取沙汰をされている支払い方式なんです。僕の理解が間違っていなければ、今年?来年?調布市さんでこの方式の調査がこれから行われると聞いております。大変難しい挑戦になると思うんですけれども、いまやアベイラビリティ・ペイメントも日本の自治体にとって他人ごとではなくなっているということをご理解いただけると嬉しいなと思います。そういうつもりで是非お聞き下さい。

アベイラビリティ・ペイメントというのは2つの要求水準を民間事業者に対して与えます。1つ目がここでは「最低限の性能要求」と書きました。プラス、「時間等の指標による要求」が2つ目。一体なんのこっちゃということですが、最低限の性能要求のことを正確には、「Pure Availability」とそのように称します。これは道路を普通に維持管理してくる、きちんと清掃をしている、樹木等や雑草は伐採して道路が正常に道路面積を確保できるようにしてくれる、それから舗装面は滑らかであって欲しいよね、高欄や手摺りに欠落があっちゃいけませんよね、損傷があっちゃいけませんよね、というごく普通の運営・維持管理をすることが「Pure Availability」、最低限の性能要求ということです。

それに対して、2つ目の時間等の指標による要求というのは「constructive Availability」と言います。コンストラクティブですから、建設的な、前向きなという意味です。これを日本語では供用性と称します。アベイラビリティの直訳ですね。供用性って一体何でしょうか?例えばですけれども、その道路を通過することができる平均速度。事故が起きたら渋滞します。渋滞すると平均速度が落ちます。この人たちが管理した道路は平均速度が速いぞ、これは得点になります。逆にあの人たちがやると事故が多発していつも渋滞するぞ、これは減点です。そういったことを時間等の指標による要求と称しております。

で、この①最低限の要求、②時間等の指標による要求、この①②とも達成した場合には支払い対価として最大アベイラビリティ・ペイメント、MAXですね。これを支払いましょうと。略称、マップイヤー(MAPy ( Max Availability Payment /year))と言います。だから、減額がないわけです。一方、①の最低減の要求はやったけれども②の平均速度等の目標は不達であった、そういう場合には不達時の影響度によって調整額が色々と並べられております。その計算式は後程ご説明いたします。最も大切なのは、①の最低限の要求ですら不達であった場合は、行政府から損害賠償を要求されます。そして、契約を打ち切られます。大変厳しい措置ですね。非常に単純化すると、これがアベイラビリティ・ペイメントの支払い方式ということです。次へ参ります。

一例ですが、一番最初に行われたI-595。これはアベイラビリティ・ペイメントの最初でございました。 I-595ではどういう性能指標をつくったかというのがこの表でございます。

色々式が書いてありますが、まず支払いの調整額というのは先ほど申しました供用状態+運営管理状態、①+②ということであります。どうやって調整をするか。一番上の表のQというはQuarter、四半期ごとということですね。それからUAというのはUn Availability。供用不能性と言ったらいいんでしょうか。それからHはhourly、時間ごと。すなわち、四半期ごとに、どの程度供用性が高かったかどうかというのを、hourlyベースで足し算していきます。それを総和といたしますというのが基本です。

どんな風に評定をしていくかというのが、右側の表に書いてあります。まず供用不能状態というのはランクが7段階あります。Gがベストで1.0、Aがワーストで0.1。このように仕分けをされます。それから、次の2つの表なんですが、ちょっと資料が間違っておりますので訂正をさせてください。この下の段、無しにしてください。それから、上の段の区間1~4とか、区間係数0.2、これも消していただきたいと思います。そのの上でご説明申し上げます。一番左の行に、12、6、2と書いてあるのは重み係数というやつです。重み係数は左の数式の中では「w」というアルファベットで表されています。Weigningのwですね。それが優先時間帯によって、12倍、6倍、2倍、そういう風に定義がされています。従って一例ですが、高い優先時間帯で係数:12の時に、供用不能状態がランクCであったという場合には、12×0.2×0.4=0.96倍で減額されます。以下、同様にして重み係数×ランク別係数でどんどん減額されていくのが、アベイラビリティ・ペイメントだという風に本日の場ではご理解ください。急ぎます。

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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