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【PPP】JR只見線、上下分離方式で全線復旧へ/福島県とJR東日本が運休区間の鉄道復旧について基本合意

2017.06.29 PPP


 2017年6月19日、東日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR東日本」)はJR只見線の運休区間の鉄道復旧について、福島県と「基本合意書及び覚書(以下、「基本合意書等」)」の締結に至ったことを発表した。

只見

 JR只見線は会津若松駅(福島県会津若松市)―小出駅(新潟県魚沼市)間をつなぐ約135kmのローカル線だ。紅葉に彩られた山並みを背景に、只見川に掛かる鉄橋を走る鉄道は観光客に人気が高く、秘境路線として愛されている。
 しかし、2011年7月の新潟・福島豪雨によって橋梁や線路が被害を受け、現在でも会津川口駅(福島県金山町)―只見駅間の約28kmは運休状態にあり、代行バスが運行しているという状況である。

 今回の基本合意書等の締結はこの運休区間の鉄道復旧に関してのものである。復旧後、福島県が運休区間の鉄道施設及び土地(以下、「鉄道施設等」)を保有し、JR東日本は保有する車両を用いて運行を実施する方針で進めるという内容。所謂、上下分離方式である。鉄道事業法により、福島県は第三種鉄道事業者、JR東日本は第二種鉄道事業者として、営業再開までに国土交通大臣から許可を取得することとなる。

(運休区間の上下分離方式イメージ 出典:東日本旅客鉄道株式会社)

 復旧に要する費用は約81億円。費用の負担割合は福島県と会津17市町村が2/3を負担し、JR東日本が残り1/3を負担する。福島県等が負担する費用については、只見線復旧復興基金の積立てた約21億円が充てられるようだ。
 復旧工事はJR東日本が実施する。営業運転再開は復旧工事の進捗状況によるものの、2021年度を目指して進められるようだ。復旧後は営業運転再開までに福島県に無償で譲渡される。

 復旧後の運行は、被災前の1日当たり3往復を基本として、JR東日本が行う。JR東日本は運行者として福島県に使用料を支払うことになるが、運休区間の収支に欠損が生じないよう減免されることが条件となっている。

 維持管理等の運営は鉄道施設等の保有・管理主体となった福島県が実施する。年間の運営・維持管理費は約2億1千万円。これを県と会津17市町村で「7:3」の割合で負担する。県からJR東日本に維持管理委託の要請があった場合は内容等について別途協議することとなった。

 今回の上下分離方式での鉄道復旧については地元でも大きな負担となることから、負担の軽いバス転換案を推す声も挙がっていた。しかし、国道252号線の通行止め時の代替路線としての役割、或いは将来の地方創生を成し遂げるための中核的な存在として期待するところから、今回の内容に決まった。

【情報ソース】
「只見線(会津川口~只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書」の締結について(*PDFファイルが開きます、142KB)、2017年6月19日、東日本旅客鉄道株式会社

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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