【寄稿】非化石価値取引 トラッキングの課題と見直しについて

2023.12.20 ナレッジ

ナレッジパートナー:越元 瑞樹


  • 4.  その他の論点

① トラッキング情報の公表について
非FIT証書の全量トラッキングに伴い、発電事業者からは不特定の小売電気事業者・需要家にトラッキング情報を活用・公表されることによるレピュテーションリスクへの懸念が指摘されています。この点については、現在も全量トラッキングがされているFIT証書と同様に、小売電気事業者が公表する場合には発電事業者の同意を得ることとし、同意なく対外公表を行った場合には、取引制限措置等を講ずることとしてはどうかという提案がなされています。

② 発電事業者と需要家の非FIT証書の直接取引について
現行の制度では、発電事業者との直接的な取引を通じて再エネ価値の取得を求める需要家の声の高まりを受けて、昨年から、バーチャルPPAの取引を行う以下の電源に限り、発電事業者と需要家間の非FIT再エネ証書の直接取引が認められています。

今後、長期脱炭素電源オークション制度の開始とともに、既存電源の活用を含めた新規投資が推し進められ、既存脱炭素電源の出力増強や改良も拡大することが予測されることから、今回のトラッキング制度の見直しに合わせて、2022年度以降に出力増強や改良がなされた非FIT電源及びFIP電源についても、発電事業者と需要家間の非FIT再エネ証書の直接取引を認めることとしてはどうか、という提案が資源エネルギー庁からなされています(※10)

(※10)
第84回 本作業部会 資料3-2 P23 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/seido_kento/084.html

以上の通り、今回の見直しは非化石証書の取引を行っている企業に大きな影響を与える可能性があるものとなっております。現時点で見直しの詳細や時期については確定しておらず、未確定な部分も多いですが、今後また新たな動きがありましたら、お伝えしたいと考えております。

以上

アイキャッチ UnsplashDerek Suttonが撮影した写真

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