【売買】JR東日本と三井物産、英国の鉄道事業運営権を取得/英国中部の主要路線『West Midlands』

2017.08.11 事業参画・売買レポート


 2017年8月10日、東日本旅客鉄道株式会社(以下、「JR東日本」)と三井物産株式会社(以下、「三井物産」)は、英国Abellio Transport Group LImited(以下、「AbellioUK社」)と共に、英国旅客鉄道事業の運営権を英国運輸省から取得したことを発表した。JR東日本は海外で鉄道運営に参画するのは初。三井物産は昨年よりEast Anglia旅客鉄道運営事業に参画しており、英国での鉄道運営事業は2つ目となる。

 取得したのは『West Midlands』の運営権。英国では地域や路線で区域を決め、英国運輸省による入札によって、その区間の鉄道運行事業者を決定するフランチャイズ制度を取っている。『West Midlands』はそのフランチャイズの一つである。この路線はロンドンからリバプールまでの区間(長距離路線)とロンドンからバーミンガムまでの区間(都市圏輸送)を運行する路線である。路線長は899kmあり、年間の乗客者数は約7,360万人。英国中部の主要路線と位置付けられている。

West Midlandsの路線図 出典:三井物産株式会社

 当該運営権の取得にあたり、JR東日本と三井物産、Abellio UK社との間でコンソーシアムを組んだ。3社で新たに設立した合弁会社『West Midlands Holdings Limited』の出資比率はJR東日本と三井物産とで2.9%、Abellio UK社が70.1%となっている。このコンソーシアムで昨年11月に入札に臨み、見事運営権を取得した。12月からの本事業開始に向けて、早々に準備が進められるものと思われる。

(投資ストラクチャ図 出典:三井物産株式会社)

  英国運輸省は10億ポンドを『West Midlans』路線に投資することとその改善のポイントを発表している。輸送力強化や通勤時の混雑緩和は重視されており、2021年までに400台の新車両を導入し、ラッシュ時でも現状より8万5,000人分の乗車スペースを確保するという計画が具体的にまとめられている。ほかに、2019年までにフリーWi-Fiを整備すること、スマートチケットシステムの実装、障害者の方を含む支援が必要な人々への乗車のしやすさの提供、15分以上の遅延に対しての補償など大きく5つの項目で改善案がまとめられている。今後JR東日本と三井物産は鉄道事業を運営する中で、これらの課題解決に取り組んでいくこととなる。

【情報ソース】
英国における旅客鉄道事業の運営権獲得について(*PDFファイルが開きます、305KB)、2017年8月10日、日本旅客鉄道株式会社
英国における旅客鉄道事業の運営権獲得について、2017年8月10日、三井物産株式会社
More  seats for rail passengers as nearly £1 billion is invested in Midlands serlands services,Department for Transport (GOV.UK)
West Midlands、Department for Transport (GOV.UK)

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