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【寄稿】プロジェクトファイナンスのMyths and Truths 途上国民間投融資促進の為に(前編)

2024.08.29 ナレッジ ハブ

ナレッジパートナー:小林 文彦


2-3 主要なプロジェクト・リスク

プロジェクト・ファイナンスは、様々な参加者にプロジェクトのリスクを割り当てる手法でもあります。これにより、プロジェクトのスポンサーは自身の財務能力を超えたプロジェクトを実現できる可能性があります。リスク割り当ての基本ルールは、特定のリスクを最も競争力のある価格で管理できる会社がそのリスクの責務を負うべきということです。しかし、忘れてはならないのは、リスクがどのように割り当てられても、そのリスク自体は存在し続けます。特にプロジェクトのスポンサーやレンダーは、プロジェクトを仔細に管理やモニタリングをする必要があります。下記は、主要なプロジェクト・リスクです。この中でh)カウンターパーティー・リスクは私が特に重要視するものです。これは、契約相手先が、その責務を果たすかどうかに関するリスクです。表面的な契約額が高くなっても、信頼できる契約相手を選ぶことが、得策であることが多いです。

a) 建設/完工リスク
b) 運転リスク
c) マーケット・リスク
d) 金融リスク
e) 政治リスク
f) 環境リスク
g) 法的および構造的リスク
h) カウンターパーティー・リスク

2-4 バンカビリティー

対象とするプロジェクトが、銀行や投資家などから資金が集まる要件を満たすことを、プロジェクトがバンカブルであると言います。バンカビリティーはプロジェクト・ファイナンスを成功に導く指針でもあります。一般的なバンカビリティーの要件を以下に示します。

a) 技術・経済・政治・E&S等に関するプロジェクトの実行可能性が十分に検証されていること。
b) 収益・費用・経費・税金・債務返済・配当等の財務計画が現実的で実現可能であること。
c) プロジェクト・リスクが合理的に割当・分配されていること。
d) すべての取引関係が法的および商業的に強制可能な契約や保証・保険・担保等として明確に文書化されていること。
e) 全てのプロジェクト参加者がリスクとリワードを明確に理解した上で、誠意を持って各々の責務を果たすこと。

上記のポイントはすべて重要ですが、特に注目すべきはe)のポイントです。最初の2つのポイントは将来のことなので、完璧に予測するのは不可能です。c)のポイントは、リスクをどのように分配しても、そのリスクは存在し続け、また、リスクを負うことを合意した当事者が不履行を起こすこともあります。d)のポイントは、いかに用意周到な契約書を作成しても、契約相手が契約不履行を起こす可能性があります。プロジェクトでは常にさまざまな問題が発生します。しかし、e)のポイントのように、プロジェクトの参加者が誠意を持って緊密に連絡を取り、予期せぬ事象を含めて課題に対処すれば、プロジェクトの成功確率は高いと言えます。

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*アイキャッチ UnsplashPop & Zebraが撮影した写真

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
ISS-アイ・エス・エス

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