【稼働】豊田通商やユーラスエナジーHDなど、北海道・道北地域の送電・蓄電事業が始動

2023.05.21 事業参画・売買レポート


 2023年5月16日、豊田通商株式会社(以下、「豊田通商」)はグループ企業の株式会社ユーラスエナジーホールディングス(以下、「ユーラスエナジーHD」)などが開発を進めていた北海道道北地域における送変電設備が竣工したことを発表した。

 当該設備は北海道稚内市から西中川変電所(北海道電力ネットワーク株式会社が中川町に建設)までの約78kmの送電線、北豊富変電所・開閉所、風力発電所の電力の出力変動を緩和・調整するためのリチウムイオン蓄電池からなるシステム(240MW/720MWh)によって構成されたものだ。総事業費は約1,050億円。

 近隣エリアでは、ユーラスエナジーHD傘下の合同会社道北風力を含む3社が約540MW規模の陸上風力発電所を新たに建設中で、完成すれば当該設備に接続する計画となっている。風力発電設備の一部は既に完成しており、2023年4月から順次運転を開始している。

◯道北地域における「風力発電のための送電網整備の実証事業」の概要

事業実施エリア稚内市、豊富町、幌延町、天塩町、中川町(送電線)
中頓別町(知駒中継局)
送電線の仕様亘長約78km、送電鉄塔269基
187kV(2回線) 約70km+66kV (2回線) 約8km
変電所/開閉所の仕様北豊富変電所(187kV / 66kV)
稚内恵北開閉所(66kV)、開源開閉所(66kV)
連携する変電所北海道電力ネットワーク 西中川変電所
蓄電池の仕様240MW×3h(720MWh)
連携する風力発電所約540MW(予定)
(新規に開発するシステムで、最大300MWに抑制し連携)
 

 送変電設備の開発・運営会社は北海道北部風力送電株式会社(資本金10.25 億円、資本準備金9.25 億円、計 19.5 億円)。株主はユーラスエナジーHD、コスモエコパワー株式会社、稚内信用金庫、北海道電力ネットワーク株式会社、有限会社稚内グリーンファクトリー、株式会社北海道銀行、株式会社北洋銀行。

 今回の送変電設備の開発は経済産業省資源エネルギー庁による「風力発電のための送電網整備実証事業」に採択されているもので、域内送電網の整備と技術的課題の実証事業を兼ねて行われる。実証では最適制御システム(風力制御システムや転送遮断システム)や送電容量を動的に算出・管理するダイナミックレーティングの適用について検証する。

*アイキャッチ 国内最大規模のリチウムイオン蓄電池システム 出典:豊田通商株式会社

【情報ソース】
北海道道北地域における送電・蓄電事業の設備が竣工~国内最大のリチウムイオン蓄電池設備で風力発電の出力変動を調整~、2023年05月16日、豊田通商株式会社

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