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【インフラマネジメント】東急建設、交通規制不要の「トンネル全断面点検システム」を実証実験/移動しながら、トンネル全断面を一度に点検

2018.04.20 トピック


 2018年04月10日、東急建設株式会社(以下、「東急建設」)は同社などが開発を進める「トンネル全断面点検システム」(以下、「当該システム」)の実証実験を行ったことを発表した。

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 実証実験は東急建設が工事を担当している一般国道128号の「(仮称)新実入トンネル」を対象にして、2018年02月10日から16日にかけて行われた。千葉県が発注する「社会資本整備総合交付金工事(内浦・(仮称)新実入トンネル工)」内で計画され、実証実験期間中には発注者主催の見学会も行われている。

 当該システムは内閣府「SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」で現在開発が進められているもの。東急建設、国立大学法人東京大学、湘南工科大学、東京理科大学、株式会社小川優機製作所、株式会社菊池製作所の6者共同で開発している。

 当該システムはフレームが道路を跨ぐ形になっており、走行できる点が特徴だ。これにより自動車等の交通を妨げずに、移動しながら点検を行うことができる。これまでのトンネルの点検では車線規制を行い、その中で高所作業車等を用いて近接目視や叩き点検を行うことが多い。規制の範囲内でしか作業できず、また点検作業範囲が高所作業車からの部分と地上からの部分と分かれる場合もあり、点検作業が完了するまでは何度かトンネル内を往復することになるのであるが、往復する点検作業や規制の盛替えなどが無くなるのは点検する技術者にとって大きな負担軽減となる。

(出典:東急建設株式会社)

 当該システムはひび割れ検出ユニットと打音検査ユニットが搭載されており、これらのユニットがトンネル表面を移動しながら点検を行う。ひび割れ検出ユニットではトンネル表面の画像と凹凸の情報からひび割れやエフロレッセンス等の変状部分を検出し、打音検査ユニットではコンクリートの浮き箇所を検出する。それぞれ自動で検出・判定がなされる。

 ユニットがトンネル表面の情報をくまなく取得できるようガイドが用意されている。ガイドにはトンネルの形状に合せて自由に変形できるフレキシブルガイドフレームが採用されており、トンネル内の標識や坑内設備がある場合でも避けて作業を続けることができるようだ。

 今回の実証実験では、主に点検作業の手順や取得した点検データの解析時間について検証が行われた。今後は既設のトンネル定期点検だけでなく、竣工前検査での活用についても検討を進めるようである。

 2014年07月に道路法施行規則の一部が改正されたことにより、トンネルや橋梁等は5年に一度の定期点検が義務化された。が、一方でインフラの維持修繕費の増大や熟練技術者の減少などインフラの維持管理を適切に進めるには課題が多い。東急建設は今回の「トンネル全断面点検システム」に見られるロボット技術やICT技術などの先端技術を活用して課題解決を目指す考えだ。

*アイキャッチ 出典:東急建設株式会社

【情報ソース】
トンネル施工現場での点検システム実証実験を実施~SIPで開発中の点検システムをトンネル竣工前検査で活用~(*PDFファイルが開きます、581KB)、2018年04月10日、東急建設株式会社

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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