【売買】三菱商事、英国の海底送電資産の運営事業権を取得/アベイラビリティ・ペイメント型で20年運営

2017.08.02 事業参画・売買レポート


 2017年7月26日、三菱商事株式会社(以下、「三菱商事」)は英国で海底送電資産の運営事業権を取得したことを発表した。三菱商事による英国での海底送電事業の運営は5件目となる

(送電資産の稼働位置 出典:三菱商事株式会社)

 今回対象となった海底送電資産は、英国北西部沖合約25kmの洋上にある「バーボバンエクステンション洋上風力発電所(発電容量:25.8万KW)」と北ウェールズ・デンビーシャー州ボデルウィダンに建設される変電所を結ぶ、『海底・陸上送電線及び付随する洋上・陸上変電設備』で構成されている。資産規模は180.6百万ポンド、日本円で約262億円になる。

 運営事業権の取得にあたっては、英国にある三菱商事100%子会社のDiamond Transmission Corporation Limited(ダイアモンド・トランスミッション・コーポレーション社、以下、「DTC社」)と英国のインフラ投資会社HICL Infrastructure Company Limited(以下、「HICL Infrastructure社」)がコンソーシアムを組んだ。

 計画通りに進めば、今年(2017年)の12月より事業は開始となる。所有権を保有し、20年間に亘り送電事業を実施する。その間はサービス提供水準を要求レベルに保つことで収益を得る形、つまりアベイラビリティ・ペイメント型で収益を得ることとなる。建設リスクや発電リスク、電力価格の変動リスクは負わない形で、送電事業に専念する。

 三菱商事は英国とドイツで海底送電網の運営をしている。2011年より増加が続き、現在では9施設、総送電距離約900km、総送電容量約435万KWの海底送電事業者となっている。DTC社では資産の保守管理業務等を担うチームが存在し、ノウハウを蓄積してきた。今後も英国における送電資産の取得を目指す他、陸上送電事業や国際連系線事業などへの展開も検討しているようだ。

三菱商事の参画する海底送電プロジェクト一覧                                                                                         

プロジェクト名称所在地参画・事業開始時期海底送電ケーブル長送電容量(万kw)
ウォルニー1英国2011年11月48km17.8
ウォルニー22012年10月48km17.8
ボルウィン1及び2独国2012年12月200km/200km40/80
ドルウィン2及びヘルウィン2135km/130km90/69
シャリンガムショール英国2013年07月45km31.5
ロンドンアレイ2013年09月54km63
バーボバンクエクステンション2017年12月(予定)25km25.8
 

*アイキャッチ 出典:三菱商事株式会社

【情報ソース】
英国海底送電資産の運営事業権取得について、2017年7月26日、三菱商事株式会社
Preferred Bidder Announcement、2017年7月26日、HICL Infrastructure

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