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【戦略】学研HDとDBJ、グループホーム事業最大手のメディカル・ケア・サービスを買収/学研版地域包括ケアシステムの実現目指す

2018.09.05 トピック


 2018年09月04日、株式会社学研ホールディングス(以下、「学研HD」)は株式会社日本政策投資銀行(以下、「DBJ」)とともに、グループホーム事業等に強みを持つメディカル・ケア・サービス株式会社(以下、「MCS」)の株式100%を取得することを発表した。

 MCSの株主である三光ソフランホールディングス株式会社から発行済み株式の全株を取得する。取得後は学研HDが61.8%、DBJが38.2%取得する形で、MCSは学研HDの連結子会社となる。全株の取得金額は144億円。DBJは「特定投資業務」を活用して資金供給を行う。特定投資業務とは企業の競争力強化や地域活性化の観点から、国からの一部出資(産投出資)を活用して民間による成長資金の供給促進を図るために用いられる制度だ。

 MCSは居室数日本一の実績を誇るグループホーム事業者である。認知症介護を重要課題と位置付け、1999年11月設立以来、認知症分野のリーティングカンパニーを目指して成長を続けている。一方の学研HDはグループ企業の株式会社学研ココファン(以下、「学研ココファン」)が中心となって高齢者住宅事業を展開しており、中でもサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)には強みがあり、2018年05月01日現在で96棟(5,253室)の実績がある。第72期の売上高102,177百万円のうち、高齢者住宅事業が含まれる医療福祉サービスセグメント(高齢者福祉・子育て支援事業)の売上高は21,434百万円、セグメント構成比で21%となっており、さらに拡大を続ける見込みだ。

 DBJは「医療・介護福祉分野の基盤整備」「社会保障制度の安定化」を目的にヘルスケア分野での取組に注力している。学研HDとはサ高住の不動産流動化案件などにおける協働等を行っており、2018年02月には学研HDの発行済み株式2.2%を取得する形で業務資本提携を実施している。DBJのネットワークを活用して学研HDのサ高住の新設を後押しすることで、不足している高齢者向け住宅の整備・拡大を進める。

 学研HDはサ高住を地域の福祉・医療・交流の拠点とする『学研版地域包括ケアシステム』構想の実現を目指している。当該構想は子どもから高齢者までのあらゆる世代を対象に、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるようにサ高住が拠点となって、多世代の交流や医療や生活支援、介護予防などを切れ目なくサポート・実施するというものだ。PFIを活用したサ高住の開発などを通じて、エリア全体のバリューアップ効果や交流スペースを活用した多世代の交流促進など、着実にノウハウを蓄積させている。一方で、グループホーム事業は4施設(83室)という実績で、サ高住と比較すると事業進捗は遅れている。今回の買収によりMCSを傘下としたことで『学研版地域包括ケアシステム』構想の実現に向けた体制を整えた形と言えそうだ。

*アイキャッチ Photo by Vlad Sargu on Unsplash

【情報ソース】
共同投資によるメディカル・ケア・サービス株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ(*PDFファイルが開きます、KB)、2018年09月04日、株式会社学研ホールディングス
(株)学研ホールディングスと共同でメディカル・ケア・サービス(株)の株式取得を実施-「特定投資業務を活用」-、2018年09月05日、株式会社日本政策投資銀行

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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