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【プロジェクトファイナンス】NECキャピタルソリューション、香港-グアム間の光海底ケーブル事業で協調融資をアレンジ

2017.04.28 トピック


 平成29年4月26日、NECキャピタルソリューション株式会社(以下、「NECキャピタルソリューション」)は香港とグアムを結ぶ海底ケーブルプロジェクトに対して、協調融資(シンジケートローン)のリードアレンジャーとしてプロジェクトファイナンスを組成したことを発表した。

 当該事業は香港とグアムの間を結ぶ光海底ケーブルを建設・運用するもので、建設は日本電気株式会社(以下、「NEC」)が請負い、運用はシンガポールに本社を置く米国資本のRTI Connectivity Pte.Ltd社(以下、「RTI社」)が実施する。総事業費は最大で約138百万米ドル。

   光海底ケーブルの敷設長さは約3,900km。光波長多重伝送方式を活用した設計伝送容量毎秒48テラビット(48Tbps)の最新のものが使用されることとなっており、計画通りに進めば稼働は平成32年1月頃となる予定だ。

 今回敷設する香港-グアム間の光海底ケーブルは、平成27年3月からNECが建設を進める東南アジア~米国を直接結ぶ光海底ケーブル「SEA-US」とはグアムで連結することが計画されている。また、日豪間ケーブル構想も存在しており、これもグアムを通るように計画されている。これらの計画が実現すれば日本/米国/豪州/アジア諸国を繋ぐ、一大光海底ケーブルのネットワークが環太平洋地域に誕生することとなる。 

(海底ケーブル「HK-G」ルート図 出典:株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構)

香港とグアムを結ぶ光海底ケーブルプロジェクトの概要                              

敷設ルート香港・グアム間(約3,900km)
設計伝送容量毎秒48テラビット
総事業費最大138百万米ドル
JICT支援決定額最大50.5百万ド米ドル
出資者・日本電気株式会社
・株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構
・RTIC経営陣を含む個人投資家
着工平成29年1月(予定)
完工平成31年1月(予定)

 今回の協調融資ではNECキャピタルソリューションがリードアレンジャー兼貸付人として参画している。NECキャピタルソリューションが海外プロジェクト向けシンジケートローンを組成するのは初めてのこと。協調融資はノンリコース型プロジェクトファイナンスとなっており、返済原資は海底ケーブルの運用から生じる収入が見込まれている。日本経済新聞によれば、融資額は約170億円程度と見られている。

 融資団は国内金融機関で組成されており、株式会社通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)は協調融資に参画しているが、SPCとなるRTI HK-G Pte. Ltd社への出資も行っている。

 ASEAN諸国ではスマートフォンの普及等によりインターネット等の通信需要が増加しており、通信分野の成長はしばらく継続すると見込んでいる。

(事業スキーム 出典:株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構)

*アイキャッチ画像の出典 日本電気株式会社

【情報ソース】
香港とグアムを結ぶ光海底ケーブルプロジェクト向けシンジケートローン組成のお知らせ(*PDFファイルが開きます、139KB)、平成29年4月26日、NECキャピタルソリューション株式会社
香港・グアム間光海底ケーブル事業への支援を決定(*PDFファイルが開きます、603KB)、平成28年1月20日、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構

NEC、香港とグアムを結ぶ光海底ケーブルシステムの建設請負契約を締結、平成29年1月20日、日本電気株式会社

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