【売買】丸紅、チリ共和国でガス配給事業・水道事業に投資/チリにおける主要インフラ事業者を目指す

2018.05.08 事業参画・売買レポート


 2018年05月07日、丸紅株式会社(以下、「丸紅」)はチリ共和国(以下、「チリ」)においてガス配給事業に参画することを発表した。同時に、同国において新たに水道事業会社を追加買収することも発表した。

■ガス配給事業

 丸紅はチリのサンティアゴに本社を置くアセットマネジメント企業Toesca Administradora General de Fondos(以下、「Toesca社」)が組成するインフラファンドとともに、チリのバルパライソ州で天然ガス配給事業を実施しているGas Valpo SpA(以下、「GasValpo社」)の株式100%を取得する。丸紅のガス配給事業への参画は3件目となる。

 GasValpo社はチリ第2位の国内シェア(12%)を有するガス配給事業会社である。バルパライソ州を中心に、約10万の民生・商業・産業顧客に対して天然ガスを配給している。年間のガス配給量は191百万m3、配給導管の長さは1,725kmに至る。

 これまで丸紅は2011年に豪州、2016年にポルトガルにおいてガス配給事業へ参画しているが、最大株主として主体的に事業経営を行のは初。今後は米州・欧州・豪州においてガス配給事業領域の拡大を目指す方針だ。

(案件所在地 出典:丸紅株式会社)

■水道事業会社の追加買収

 チリでのガス配給事業に参画する一方で、新たに水道事業会社を買収し、これまで進めていた同国での水道事業を拡大させる。追加で買収するのはチリ第3州で水道事業を展開するAguas Chañar S.A.(以下、「AC社」)。丸紅が株式会社産業革新機構(以下、「INCJ」)と折半出資しているチリの水道事業会社Aguas Nuevas S.A.(以下、「AN社」)と先述したToesca社が組成するインフラファンドが折半出資する形で、AC社の100%株式を取得する。

 AC社はチリ第3州の10都市で、約30万人を対象に上下水道のフルサービスを提供している。AN社は顧客数でチリ第3位の水道事業者であり、傘下の水道事業会社3社がチリ第1州、第9州、第12州、第15州で事業を展開している。AC社の買収後は顧客数でチリ全体の約10%に相当する約166万人に達する見込みだ。

 チリ北部では大半が砂漠であることに加えて、銅鉱業や農業で水需要が大きく、水不足が懸念されている。そのため、貴重な水資源を有効活用するための水道事業のオペレーション機能強化や無収水対策は喫緊の課題だ。買収後はAC社のオペレーション機能の強化を図るとともに、2016年にINCJと共同買収したポルトガルの水道事業会社AGS社が保有する上下水施設管理システム(アセットマネジメントシステム)を活用し、無収水対策を進める方針。

(案件所在地 出典:丸紅株式会社)

*アイキャッチ Photo by Bailey Hall on Unsplash

【情報ソース】
チリ共和国においてガス配給事業へ参入する件(*PDFファイルが開きます、121KB)、2018年05月07日、丸紅株式会社
チリ共和国における水道事業会社追加買収の件(*PDFファイルが開きます、203KB)、2018年05月07日、丸紅株式会社

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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