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【レポート】(全3回)曲がり角に来た米国の道路コンセッション方式 Part.2

2016.04.20 ナレッジ ハブ


アベイラビリティ・ペイメント方式が増加する米国市場

 既存道路に対する長期リース方式のコンセッション契約であるシカゴスカイウェイ(Chicago Skyway)では、道路の所有権はシカゴ市が保有したまま、民間事業者(スペインのシントラとオーストラリアのマッコーリー)が道路を99年間、運営する権利を18億3000万ドルで取得した。事業者はシカゴスカイウェイのすべての運営と維持管理に責任を負い、料金改定や売上に対して権利を有している。

 一般的に供用中の道路は新設に比べて交通量の将来予測の安定性が高いため、運営リスクが低く投資対象として魅力的である。財源不足に悩む公共セクターにとっては、事業運営権の譲渡代金として一括前受け金によって多額の収入が得られるため、負債の解消・軽減の一方策として検討されることもある。

 図表-3~5は、米国におけるPPP方式の実績(1993~2014年)と実施状況である。図表-3では契約のタイプ、資金構成、契約事業者等を一覧にしている。一覧表から以下の点が特徴として挙げられる。

  • バージニア州、テキサス州、カリフォルニア州でのPPPの実績が多い。
  • 資金構成が公的財源と民間資金の組み合わせになっている。
  • 通行料金徴収(Toll Revenue)による独立採算型が減って、アベイラビリティ・ペイメント(Availability Payment:道路のサービス提供水準を管理者の要求レベルに保つことによって管理者から民間事業者に支払われる対価。対価は交通量の増減には依らない)によるサービス購入型が増えている。

03図表-3 米国内のPPP方式の実績一覧(資料:Public Works Financingから抜粋)

(*)TIFIA(Transportation Infrastructure Finance and Innovation Act):連邦保証支援を規定する法律。直接ローン、ローン保証、P3を含む陸上交通プロジェクトに対する公共セクターや民間事業者への信用保証の形を取る。交通プロジェクトに対する民間事業者や連邦以外の公共セクターによる出資の呼び水となることを狙いとしている。
(*)
PAB(Private Activity Bond):州や地方政府によって発行される免税債券。P3のような民間事業者による開発・運営プロジェクトに利用される。
(*)
TR:料金収入型、AP:アベイラビリティ・ペイメント型

04図表-4 米国における新設道路PPPプロジェクト

05図表-5 米国における既設道路PPPプロジェクト 

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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