【レポート】カナダにおけるPPPマーケットの概況について

2018.01.16 ナレッジ

ナレッジパートナー:片桐 亮


Ⅴ. P3推進組織について

 カナダでは、州政府による主なP3推進組織として以下の2組織がある(図表6参照)。英国やオーストラリアの同種の推進組織に比べ、カナダのP3推進組織は、独立した組織となっている点、P3の事業化にあたっての大きな権限を与えられている点に特徴がある。

 インフラストラクチャー・オンタリオは、州政府から独立した公共企業体として位置付けられており、財務省より、P3事業化に係るスクリーニングを実施、評価を行う権限を与えられているほか、各省庁のP3に係る調達代行の役割を担っている。インフラストラクチャー・オンタリオによるスクリーニングの結果、P3事業化されるケースは9割以上(ただし、DBFやBFといった手法も含む)となっているなど、P3事業化にあたっての大きな推進力となっている。また、調達実務を一元化していることにより、手続きや契約などの標準化が進んでいる点にも特徴がある。2011年には、州政府の管財関連組織と一体となり、数百人の体制による、州の公共不動産の管理や有効活用を含めた公共インフラの専門組織として位置付けられている。

 インフラストラクチャー・オンタリオと同様、パートナーシップス・ブリティッシュコロンビアも公共企業体として州政府から独立した組織として設立されている。役割も同様となっているが、インフラストラクチャー・オンタリオに比べて、小規模な組織であり、比較的自治体の案件化推進に対して積極的である点に特徴がある。パートナーシップス・ブリティッシュコロンビアは、提供するサービスに基づき、州政府または自治体から支払われるフィーのみによって運営されている。

 上記のP3推進組織のほか、ケベック州においては、ケベック州立投資銀行(Caisse de dépôt et placement du Québec(CDPQ))があり、州政府や自治体と連携のうえ、ケベック州立投資銀行が自ら資産を所有し、資金を調達する“CDPQ Infra Model”を提供しており、ケベック州立投資銀行が、設計・施工または運営を行う事業者を選定する機能を担っている。

【図表6 州政府によるP3推進組織】

(出典:各種資料等よりデロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社が作成)

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