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【レポート】(全4回)なぜ交通インフラ事業にプロジェクトファイナンスは難しいのかー第4回

2017.04.17 ナレッジ ハブ

ナレッジパートナー:井上 義明


〇「新興国での為替リスク」への対応策

 最後に「新興国での為替リスク」への対応策を見てゆきたい。「新興国での為替リスク」への対応策は存在するのであろうか。借入金の通貨を事業収入の通貨と一致させることができなかったとすると、もはや有効な対応策はない。為替の先物予約あるいは通貨スワップといった金融手法は存在するが、長期に亘る借入期間を考えると焼石に水である。

 世界銀行やアジア開発銀行などの国際金融機関が新興国向け融資についてローカル通貨での融資に努力をしている。これはこの「新興国での為替リスク」を回避するためである。しかし、国際金融機関の力を以ってしても調達できるローカル通貨の金額には限度がある。必要とされる金額に比して、実際に調達できる金額は残念ながら僅かなものである。ローカル通貨の調達自体が容易なことではないのである。

 従って、「新興国での為替リスク」の問題はいまのところ抜本的な対応策・解決策が見当たらない。インフラ整備を進めないことには経済成長が望めないのに、そのための資金調達が思うようにいかない。資金調達が難しいのは経済成長ができていないからだ。これは新興国のジレンマである。「新興国での為替リスク」というのは、こういった新興国のジレンマを象徴している問題だと言うことができる。

 さて、交通インフラ事業の4つの特性に対する対応策について論じてきたが、一覧にまとめると次のとおりである。

(交通インフラ事業の特性と対応策)

次ページへ まとめ:交通インフラ事業の成功のカギは・・・

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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