2026.09.06
【コラム】(プロファイバンカーの視座)第201回 米国のLNG事業(3)
2026.08.13 連載コラム
【米国のLNG輸出先】
2022年にロシアがウクライナに侵攻しました。これを受けて欧州各国はロシアからガスパイプラインを通じて輸入していた天然ガスの購入量を順次減らし、代替としてLNG(液化天然ガス)の輸入を増やし始めました。欧州各国は一体どこからLNGを輸入したのでしょうか。LNGを輸出している国は限られます。欧州各国のLNGの輸入を大規模に支援したのは間違いなく米国です。前回米国によるLNG輸出量が毎年伸長している様子をグラフで確認しましたが、米国のLNGの主要な輸出先は欧州です。欧州でのLNG需要の急伸と米国でのLNG供給の急伸とがタイミングよく合致したわけです。
米国におけるLNG生産基地の所在地を見ておきましょう。米国のLNG生産基地はメキシコ湾岸に集中しています(下記の図をご覧ください)。ここで生産されたLNGをLNG船で大西洋を渡って東方に向けて運搬すれば、そこは欧州大陸です。LNGの輸送距離という点では米国にとっての欧州市場はなかなか好都合です。米国はLNGをアジアにも輸出していますが、アジアに輸出するためにはパナマ運河を通過する必要があります。パナマ運河を通過して、さらに太平洋を横断する必要があります。LNGの輸送距離という点では米国から見たアジア市場は欧州市場に劣後するのは明らかです。
【米国のLNG輸出量】
(注)Gemini 1.5 Proで筆者作成
前回、昨年2025年の米国のLNG輸出量は1億1,100万トンと確認しました。上記で米国のLNG生産基地の所在地を確認し、米国にとっての欧州市場はなかなか好都合だと申し上げました。念のため、2025年の米国によるLNGの輸出先別の輸出量を確認しておきましょう。下記の円グラフが2025年の米国LNGの主要な輸出先の輸出量です。
【米国のLNG輸出量】
(注)公表資料等から筆者作成
上記の円グラフを見ますと、欧州向けが圧倒していることが明らかです。2025年米国のLNG輸出量1億1,100万トンのうち、7,550万トンは欧州向けです。米国のLNG輸出量の68%(約7割)に相当します。欧州に続くのはアジアです。アジア向けは1,780万トンで米国のLNG輸出量の16%です。なお、2024年まで中国は米国のLNGを一部輸入していましたが、2025年は輸入ゼロになりました。2025年の米国によるアジア向けLNG輸出量1,780万トンの中に中国向けは入っておりません。これはトランプ大統領が2025年1月就任早々関税を課したため、中国が反発したのが原因だと言われています。
プロジェクトファイナンス研究所
代表 井上義明
*アイキャッチ UnsplashのEdgar Serranoが撮影した写真のEdgar Serranoが撮影したイラスト素材
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・【コラム】(プロファイバンカーの視座)第200回 米国のLNG事業(2)
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