2026.05.14
【コラム】(プロファイバンカーの視座)第194回 2025年のプロジェクトファイナンス市場(2)
2026.04.23 連載コラム
【米国の政策金利の影響】
前回からデータに基づいて最新の世界のプロジェクトファイナンス市場を見ています。前回からの続きのお話をします。
2022年以降世界のプロジェクトファイナンス市場の規模が徐々に拡大したと言いましたが、一直線の右上がりの成長ではありませんでした。2023年は2022年に比べ、一旦減少余儀なくされています。そして、2024年は2022年を上回る成長を見せ、2025年はさらに飛躍的な成長を遂げました(前回掲載のグラフをご覧ください)。
この2022年から2025年の4年間に世界のプロジェクトファイナンス市場に何があったのでしょうか。2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が開始されました。このウクライナ戦争の影響も相応あったものと考えられます。しかし、世界のプロジェクトファイナンス市場に最も影響を与えたのは米国の政策金利ではないかと思われます。下記のグラフをご覧ください。このグラフは2022年以降の米国の政策金利の推移を示したグラフです。米国の政策金利は2022年3月から引き上げが開始され、翌23年7月まで続けて計11回の引き上げが行われました。引き上げ開始前の政策金利はほぼゼロだったものが、5.25%まで引き上げられました。
【米国の政策金利の推移】
(出典)Federal Reserve Bank of NEW York
前回掲載したグラフをもう一度見ていただくと、2023年のプロジェクトファイナンス市場の規模が2022年に比べ一旦減少しています。この減少の主要な要因は米国の政策金利の引き上げではないかと推測されます。政策金利が上昇すると、借入金利も上昇します。プロジェクトファイナンスは借入ですから、借入金利が上昇すると事業会社(借主)の支払利息額が増加します。支払利息額が増加してくると、事業会社(借主)は借入を躊躇したり、借入のタイミングを後ろ倒しにしようとする誘因が働きます。2023年のプロジェクトファイナンス市場の規模が一旦縮小したのは、米国の政策金利が引き上がったことが大きな要因だと推測する由縁です。
なお、米国の政策金利は2024年9月以降引き下げが行われています。2025年12月までに計6回の引き下げが行われました。計6回の引き下げによる引き下げ幅の合計は1.75%です。特に2025年にプロジェクトファイナンス市場の規模が飛躍的に伸長しました。これは米国の政策金利が下がり始めているという金融市場の緩和が呼び水になった可能性があります。
(次回に続く)
プロジェクトファイナンス研究所
代表 井上義明
*アイキャッチ UnsplashのJermaine Eeが撮影した写真のJermaine Eeが撮影したイラスト素材
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