【コラム】(プロファイバンカーの視座)第192回 プロジェクトファイナンス超入門(56)

2026.03.26 連載コラム

ナレッジパートナー:井上 義明


【借入金の通貨の選び方21~まとめ】

前回は最後に、発電事業では所在国が先進国か新興国(発展途上国)かによって借入金の通貨が二分するのに対して(例1~10)、資源開発事業では所在国が先進国であろうが新興国(発展途上国)であろうが、借入金の通貨はすべて米国ドルだ(例11~15)というお話をして終わりました。なぜ、資源開発事業では所在国が先進国であろうが新興国(発展途上国)であろうが、借入金の通貨はすべて米国ドルになるのでしょうか。今回はこの点を確認したいと思います。

「事業収入の通貨=借入金の通貨」という等式を思い出していただけると、答えは簡単に導くことができます。資源開発事業では所在国が先進国であろうが新興国(発展途上国)であろうが、借入金の通貨がすべて米国ドルになるのは、資源開発事業の事業収入の通貨が米国ドルになるからではないかという予想がつきますね。その通りです。例11~15の資源開発事業の取り扱う資源はなんだったか、あらためて整理してみましょう。例11~15ではLNG、鉄鉱石、銅、ニッケルを取り扱っていますね。これらの資源を輸出すると、輸出代金は通常米国ドルで支払われます。こういった資源は世界の市場でグローバルに取引されていますが、代金決済は通常米国ドルです。つまり、資源開発事業では所在国が先進国であろうが新興国(発展途上国)であろうが、事業収入が通常米国ドルになるので、借入金の通貨は米国ドルになるというわけです。借入金の通貨を考える場合に、資源開発事業では所在国によって影響を受けることは通常ありません。なぜなら、資源開発事業の事業収入は通常米国ドルになるからです。事業収入の通貨が米国ドルになるのなら、借入金の通貨も米国ドルになるということです。「事業収入の通貨=借入金の通貨」という等式の通りです。前回お示しした図表に、「事業収入の通貨」を追加したものを下記に再度お示して、整理しておきたいと思います。

【資源開発事業の借入金の通貨と事業収入の通貨】

借入金の通貨の選び方に関して、例1~15の合計15例を採り上げてきました。これら15例の一覧表を作成しましたので、まとめとして下記にお示ししたいと思います。

【借入金の通貨の選び方 – 例1~15のまとめ】

借入金の通貨の選び方について長くお話をしてきましたが、今回を以ってこのテーマを完結したいと思います。借入金の通貨の選び方の要点をもう一度申し上げれば、「事業収入の通貨=借入金の通貨」という等式に尽きる、ということができると思います。

(次回に続く)

プロジェクトファイナンス研究所
代表 井上義明

*アイキャッチ UnsplashAngus Grayが撮影した写真のAngus Grayが撮影したイラスト素材

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