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【テクノロジー】九州大学・JRE・東京ガス、高精度な風車ウエイクモデルの開発に向け共同研究

2022.10.05 トピック


 2022年10月3日、九州大学、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社(以下、「JRE」)、東京ガス株式会社(以下、「東京ガス」)は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が公募していた「研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)産学共同(本格型)令和4年度公募」に採択されたことを発表した。10月1日より「洋上ウインドファームの採算性と耐久性の最適設計に資する日本型ウエイクモデルの開発と社会実装」というテーマで研究開発を開始する。

 ウエイクとは風力発電設備が風を受けることで下流に流れる風速が減速する現象やその領域のことをいう。複数の風力発電設備がある場合、下流側にある風力発電設備がウエイクの影響を受け発電量が減少してしまうため、ウエイク現象を把握・制御することが風力発電事業を進める上で重要となっている。ウエイク現象を把握して最適配置設計や適切な運転制御を行うことで、発電量のロス分の減少や風力発電設備の故障リスクの低減が見込める。

 当該研究の期間は2022年10月~2025年3月。2021年から実施している「洋上風力発電の採算性と耐久性の最適設計に資する日本型ウエイクモデルの開発と大型商用風車を活用した精度検証」を発展させた形で行うもので、前年度の研究で明らかになった単機風車のウエイク気流特性をベースに、複数風車のウエイク相互干渉現象の解明を目指すという内容だ。

 当該研究では、響灘ウインドエナジーリサーチパーク合同会社が所有する福岡県北九州市響灘地区の風力発電設備(Vestas社製 3.3MW 洋上設置タイプ)を用いた風車模型実験、リモートセンシング技術(鉛直ライダー)やドローンを活用した野外計測、風車操業データの分析などを行い、九州大学内田准教授が開発しているCFDポーラスディスク・ウエイクモデルの高度化とAIを用いた風車ウエイクモデルの開発を進める。研究に参加する3者の役割分担は下記の通り。

➣九州大学
・精密な模型風車を用いた風洞実験
・模型風車・実機風車を対象としたスーパーコンピュータによる再現計算
・CFDポーラスディスク・ウエイクモデルの高度化
➣JRE
・実機風車の運転データ(操業データ)の分析
・実機風車を対象としたウエイク現象の把握
  (鉛直ライダーおよびドローンによるウエイク計測、ウエイクの可視化)

➣東京ガス
・実機風車を対象としたウエイク計測とデータ分析
・AIを用いた風車ウエイクモデルの開発

*アイキャッチ UnsplashSander Weetelingが撮影した写真

【情報ソース】
日本型風車ウェイクモデルの社会実装の実現に向けて~ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)、東京ガス(株)とJSTのA-STEPの産学共同(本格型)に採択~、2022年10月3日、九州大学

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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