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【実証】大林組、洋上風車基礎スカートサクションの実証結果を公表

2021.08.21 トピック


 2021年8月19日、株式会社大林組(以下、「大林組」)は同社が開発した洋上風車基礎「スカートサクション®」を実海域において1年間設置し、その支持性能と環境への影響を確認したことを発表した。

 スカートサクション®は頂版や頂版から下方に伸びた円筒形の鉛直壁(スカート)で構成された洋上風車の基礎やアンカーに適用できる海洋構造物だ。スカート内からの排水によって発生するサクション(スカート内が静水圧以下になること)を利用して、洋上風車の基礎を海底地盤に貫入させることができる。杭を打ち込む方式のモノパイル構造などでは施工が困難な岩盤が浅部に出現する海域でも強固に固定できることが強みだ。

 水深が40~50mと大水深化し、風車が大型化した場合でも基礎部に採用可能であり、大型の杭打機などを使用しないため、基礎工事のコストを大幅に縮減することもできる。供用期間が終われば、スカート内に水を注入することで、水中に基礎を残すことなく半日で完全撤去も可能だ。

 大林組はこのスカートサクションを2020年5月~2021年5月の1年に亘って実海域に設置し、季節ごとの波浪条件下で挙動計測や海洋環境への影響を確認した。その後、完全に撤去するまでのフローも実施確認されている。

(50年に一度の高波の状況(2021年2月)出典:株式会社大林組)

 スカートサクションについては、これまでも港湾内での載荷試験や実海域での夏季2週間の波浪下での実証試験が行われているが、今回の試験では高さを3m延長させた試験体が採用されており、実証に使用された試験体は高さ35.7m、スカート径12mのものとなっている。1年間の実海域波浪に加えて、2021年2月には50年に一度という厳しい海象条件にも見舞われたが、大きな変状は発生せず支持性能は適正に保たれたようだ。試験体設置後は大林組が開発した水中ROV(Remotely Operated Vehicle)「ディアグ」を使用して、試験体設置位置周辺の海洋環境への影響調査も行われた。試験体の基礎周辺にはイシダイなどの沿岸域の海洋生物が集まっており、漁礁のような役割を持つことも確認されている。

*アイキャッチ 出典:株式会社大林組

【情報ソース】
洋上風車基礎「スカートサクション」を実海域で1年間にわたり設置し実証、2021年8月19日、株式会社大林組

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