【コラム】(財務モデリングの最先端)第33回 財務モデルにおけるマッピングとは

2021.04.02 連載コラム

ナレッジパートナー:川井 文哉


第30回のコラムにて、投資検討モデルを事業管理モデルとして継続利用するにあたっての困難な点を紹介し、中でも特に勘定科目が投資検討モデルと事業管理モデルでは異なるため、実績値をアップデートしていく際に多大な調整作業が発生する点について述べた。今回は、予実管理モデル構築の上で重要なテクニックの1つであるマッピングについて紹介する。

財務モデリングにおけるマッピングとは

財務モデリングにおけるマッピングとは、勘定科目におけるデータマッピングを行うことだ。データマッピングとは、データベース管理の用語で、データベース間でフィールドを一致させるプロセスを指す。これだけ聞くと何やら難しいことのように聞こえるが、要は2つの異なるリストがあり、それぞれの対応関係を整理することだ。これらをまとめると、財務モデリングにおけるマッピングとは異なる勘定科目についての対応関係を設定することになる。

マッピングの例

具体的には、モデル毎に異なる勘定科目についての対応関係を設定することになるが、下記の例を用いて説明しよう。

投資管理モデル
1. 売上原価
2. 販売管理費
3. 人件費
4. その他経費

事業管理モデル (実績)
A. 材料費・加工費
B. 広告宣伝費
C. 業務委託費
D. 租税公課

投資管理モデルの勘定科目は 1~4 となっており、事業管理モデルの勘定科目は実績に合わせて A~D となっている。このように、投資管理モデルと事業管理モデルの勘定科目が異なるので、A~D の実績を 1~4 と合わせなければならず、担当者が確認作業で多くの時間を使うことになる。この作業を解決するため、財務モデルの中にあらかじめ対応関係を設定できる仕組みを構築すると、A~D について実績を更新した際に、自動的にそれらを 1~4に割り振ることができる。今回は敢えて対応関係を作りやすい項目を選んだが、下記のようになるだろう。

マッピング対象
A. 材料費・加工費 → 1. 売上原価
B. 広告宣伝費 → 2. 販売管理費
C. 業務委託費 → 3. 人件費
D. 租税公課 → 4. その他経費

上記は非常に簡単な例だが、実務的には試算表から実績をアップデートすることも多いので、PLだけで補助科目も合わせて100以上の科目になることもある。それらをモデルの標準的な勘定科目10 ~ 20個への対応関係を構築しておくことで、実績などをスムーズにアップデートする仕組みを作ることができる。

東京モデリングアソシエイツ株式会社
マネージングディレクター
川井 文哉

*アイキャッチ Photo by Joel Dunn on Unsplash

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