2024.04.18
【コラム】(財務モデリングの最先端)第31回 Sカーブ理論を用いたCAPEXモデリング①
2021.02.19 連載コラム
石油・ガス採掘プロジェクトなどの財務モデルにおいて、Capex(設備投資)スケジュールをモデル化するために用いられる一般的な理論の一つにSカーブ理論がある。なお、LNG価格の契約などに用いられる価格決定式についてもSカーブと表現することがあるが、ここではあくまでもCapexに関する議論であることに留意されたい。
プロジェクトフェーズを大まかに4つに分けた際、一般的な各フェーズにおけるCapexの負担比率を例として下図に示している。
フィージビリティスタディ(FS)では最小限のリソース投入にて検討を実施、FEEDでは約1年に及ぶ詳細設計が行われるため相当の人的工数が要求される。多くのケースではこのタイミングで最終投資意思決定(FID)を実施する。なぜなら、大部分のCapexは、次のEPCフェーズにて投下されるためである。EPCフェーズが80%-90%完了したタイミングで試運転による生産が行われるが、こちらも投下するCapexとしては限定的である。
上記のCapexスケジュールを累積曲線で表すと以下のようなS字を示すため、Sカーブ理論と呼ばれている。
次稿では、このSカーブ理論を財務モデルに表現するため、必要なパラメータや関数について紹介したい。
東京モデリングアソシエイツ株式会社
マネージングディレクター
吉村 翔
*アイキャッチ フォトZbynek BurivalにUnsplash
【バックナンバー】
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第30回 投資検討モデルから事業管理モデルへの移行
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第29回 財務モデルにおけるフォーマット(2)セルルール編
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第28回 財務モデルにおけるフォーマット(1)シートルール編
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第27回 YAGNI Principle
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第26回 財務モデルにおける「計算の正しさ」とは
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第25回 財務モデルにおける串刺し計算の活用方法および留意点(3)
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第24回 財務モデルにおける串刺し計算の活用方法および留意点(2)
・【コラム】(財務モデリングの最先端)第23回 財務モデルにおける串刺し計算の活用方法および留意点