【寄稿】再エネ施行規則の改正省令の公布(1)

2020.12.28 ナレッジ

ナレッジパートナー:越元 瑞樹


(4)本失効制度についてのポイント

本失効制度については以下の点が重要であると考えられる。

① 再エネ促進法施行時点でFIT認定案件の運転開始期限が到来しているかどうかによって区別・整理して検討する。
② 運開期限の1年後の時点の進捗状況で適用判断する。
③ 系統連系工事着工申込がなされているかどうかによって区別する。
④ 工事計画届出が不備無く受領された場合又は環境影響評価書の確定通知を受けている場合で区別する。

なお、本省令については、2020年9月付電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等の概要(以下「本省令案概要」という。)が示されたうえで、2020年9月7日付でパブリックコメント手続に付された。2020年11月13日付で当該パブリックコメントの結果(以下「本パブリックコメント結果」という。)が公表されているが、本パブリックコメント結果において既認定の太陽光発電事業に関連して以下の点が言及されている。

No.概要
11失効事由の要件のうち「開発工事への準備・着手が公的手続きによって確認された場合」については、上記のとおり経済産業大臣に別途進捗確認申請書の提出を行う必要があるところ、経済産業大臣が確認できた場合には、事業者に対する通知が行われる(改正本施行規則第13条の2第2項参照)。
182012年度~2014年度に設備認定を取得し、2016年8月1日以降に接続契約を締結した案件(いわゆる3年ルール適用案件)については、別途系統連系工事着工申込書の提出や工事計画届出の提出が必要となるが、2023年3月31日までに運転開始に至るのであれば事業者の判断により、系統連系工事着工申込書の提出や工事計画届出の提出を行わないとの判断を行うことも許容される。
22本失効制度上に関連して言及される系統連系⼯事着⼯申込みの提出条件については、以下の3つとなり、環境影響評価法及び条例に基づく環境影響評価の評価書の公告等は含まないこととされた。
・設置場所の使用権原の確保。
・設置場所についての、農振法の遵守⼜は農地法上の許可又は届出等[1] の履践。
・森林法の林地開発許可の取得。
26事業者が⼀般送配電事業者に対して系統連系⼯事着⼯申込みを⾏い、これが受領されている場合には、改めて⼀般送配電事業者等に対して 系統連系⼯事着⼯申込みを⾏う必要がないことが確認されている。
33失効制度との関係では、系統連系工事着工申込書の提出後に事業計画が変更された場合であっても系統連系工事着工申込書の再提出は求められないものの、系統連系工事着工申込書が必要な要件を満たしていないことが事後的に判明した場合には、失効となる可能性がある。
39本失効制度に関連して言及される環境影響評価については法アセスを意味し、条例アセスは含まれないことが確認された。
48工事計画届出の提出後、工事計画届出の軽微な変更による再提出があったとしても失効することにはならないものの、地番の追加や発電設備の設計の大幅な変更などFIT法の事業計画の変更にまで及ぶような場合については、失効リスクを取り除くとした決定を取消す可能性がある。
82電源接続案件募集プロセス案件にも系統連系⼯事着⼯申込手続が適用されることが確認されている。
92系統連系⼯事着⼯申込みの受領後、送配電事業者が指定する連系開始予定⽇が系統連系⼯事の事情により遅れが⽣じた場合には、当該遅延した期間を失効期間に加えることとするとする点については経過措置にも適⽤されることが確認された(改正本施行規則第13条の2第3項参照)。
932017年4⽉1⽇時点で⼿続中の「電源接続案件募集プロセス」に参加している案件については、プロセスが終了した⽇の翌⽇から起算して6ヶ⽉間のうちに、接続契約を⾏い、その同意が得られた⽇に法第9条第3項の認定を受けたものとみなされ、そのみなし認定⽇から運転開始期間の起算点となることから、失効期間についても、みなし認定がなされた⽇を起算点とするとする点については経過措置にも適⽤されることが確認された(改正本施行規則附則第2条第3項参照)。
 

[1]本パブリックコメント結果を踏まえて、農地法第4条第1項若しくは第5条1項の許可が条件に追加されている。

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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