【講演録】橋梁のセルフメンテナンス「 ふくしまモデル」の取組み(後編)

2020.03.18 ナレッジ

ナレッジパートナー:株式会社アイ・エス・エス


■リハテック研究会@山口大学
■タイトル:『セルフメンテナンス ふくしまモデル』の取組み

■開催日:2019年12月13日(金)


ふくしまモデルの構築に至るまで

 住民参加型橋梁点検は、「住民主導型」からスタートしました。その舞台となるのが福島県平田村です。平田村は福島県の比較的中央部に位置している人口6,000人の村です。この地域では以前から資材支給事業による協働の村づくりが根付いていました。その取り組みに着目し、この研究で地域と積極的に関わり始めたのが2012年でした。協働の村づくりの一環として、コンクリート舗装工事を行ったのがこの写真です。

 2013年は地域の子どもたちをターゲットに、地域の名前のない橋に名前を付ける「名付け親プロジェクト」を実施しました。子どもたちが、自分の持っているぬいぐるみに名前を付けて可愛がるのと同様に、自分たちで名前を付けた橋にも愛着を持ってもらうことがこの取り組みの1つ目の狙いです。2つ目は、子どもたちのこの取り組みを通して、その保護者にも子どもたちが名付けた橋を大切にしないと、と思ってもらうことです。愛着がわくことで地域の橋は地域で守るという意識が生まれると考えました。実際とても好評で、子どもたちやその保護者に橋を気にかけてもらう良い機会になったと聞いています。

 2015年は平田村での活動が大きく前に進んだ年でした。地域の文化祭に出展し、橋の模型を使って橋面上の健全な状態について解説したり、チェックシート第1弾の配布もしました。その結果、関心をもってくださった1行政区の区内8橋梁で「住民主導型」の橋梁点検(以下、「点検活動」)を施行することができました。

 2016年には、趣向を変えて、子どもたちにコンクリートと触れ合う機会を作りました。コンクリートを型に入れて、キャラクターのマスコットを作っています。ここにいらっしゃるみなさんには馴染みのあるコンクリートも、子どもたちにとっては、「なにそれ!」というものですからね。粘土遊びのようにコンクリートで遊んでもらって、コンクリートを知ってもらうというイベントを開催しました。かなり好評で、当初マスコットでしたが、今では金具を取り付けてストラップになっています。

 2017年には点検活動は一気に広がりました。2016年の1行政区での取り組みが認められ、村内の全行政区で実施されることとなりました。村内の約半数の30橋梁が対象です。2018年は村内の殆ど全ての橋梁、60橋梁で点検・清掃活動が行われました。橋梁数が増えた、ということは、それだけこの活動にご協力くださる地域住民のみなさまが増えたということです。地域のみなさまが非常に積極的で、ここまで広げることが出来たと聞いています。

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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