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【コラム】第13回 民間の貿易保険(取引信用保険、ポリティカルリスク保険、ストラクチャードクレジット保険)の活用について(13)

2020.03.10 連載コラム

ナレッジパートナー:須知 義弘


今回は、建設機械など動産をカバーする保険について説明したい。商品名はComprehensive Contractors Plant and Equipment(CCPE)と言われるもので、日本語では海外資産包括保険という場合が多い。主なカバーは以下の通りである。

  • 接収行為
    相手先国政府による、またはその命令による接収、収用、国有化行為であり、被保険者の資産の一部または全部の使用や所有を明示的かつ永久に奪うこと。
  • 輸出禁止
    被保険者の資産の一部または全部につき、被保険者またはその代理人が相手先国のしかるべき機関から輸出ライセンスを取得できず、その結果その資産を持ち出せないことにより、その使用や所有が相手国以外で出来なくなること。但し、当該保険の保険始期時点では、その輸出ライセンスが取得できたことが条件となる。尚、被保険者がその資産を相手先国から持ち出せなくなることが明らかになり、その旨を保険会社に通知した日から6か月間、その資産の使用や所有が出来ない状態が継続していなければならない。
  • 強制的放棄
    被保険者の力の及ばない状況であり、かつ被保険者国政府またはその公式代表者が相手先国からの人員の退避を要求または忠告することを直接の原因とする。その状態が6か月間継続した後の被保険者の資産の完全な放棄。但し、その要求または忠告は、相手先国に居る被保険者国の全ての国民に適用されなければならない。この目的において、政府が公表する渡航勧告のみが上記の要求または忠告を構成するものではない。
  • 故意による破壊
    相手先国政府による、またはその命令による資産に対しての故意の破壊または損害。
  • テロ/破壊行為
    ストライキ、暴動、騒乱、テロ、破壊行為による資産の破壊または損害。またはこれらの行為を鎮圧または鎮静するために法律に基づき組織された機関が起こした火災、略奪またその他の損害。
  • 戦争
    戦争、内戦、革命、反乱、反逆、クーデター、または他国による敵対的行為による資産の破壊または損害で、相手先国内で起こったもの。

通常、この保険を有効にするためには、現地で動産総合保険を購入する必要がある。また、商品名の通り、この保険は、本来建設業者が保有する建設機械を新興国で使うことを想定している。従って、相手先国で工事中に、建機を相手国政府に接収・収用されてしまった時、工事が終わりそれらの建機を別の現場で使うために相手国から持ち出そうとしたけれど持ち出せない時、また、現地の動産総合保険でカバーされていない戦争やテロによって建機が破壊されてしまった時などがカバーされる。さらに建機だけではなく、建設業以外の業種においても、新興国に所在する在庫などにも適用でき、複数の国に所在する資産をポートフォリオで引受けること(どこの国で保険事故が起きても最初の〇〇億円をカバーするといったもの)も保険会社によっては引受可能である。

私が保険会社に勤務している時の案件として、あるリース会社が新興国の建設業者に建機をリースするというものがあった。リース先は、財務内容がそれほど良くなく、信用保険を利用できかねる状態だったので、このリース会社は、自分たちの資産であるこれらの建機をどのような事象が起こったとしても確保するといった観点から、この海外資産包括保険に加入した。そうすることにより、リース資産に動産総合保険でカバーできない物的損害が発生したり、相手国政府に接収・収用されてしまったり、そして、リース資産が相手国から持ち出せなくなったとしても、リース資産相応額の保険金を受け取ることができ、信用保険を買った時と同様の効果が得られた。

この保険は、現時点では、日本貿易保険(NEXI)は扱っていない。NEXIと民間マーケットの違いについては、次回以降で説明したい。

須知義弘

*アイキャッチ Photo by Dominik Vanyi on Unsplash

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