【寄稿】洋上風力発電に関する近時の動向及び法改正について

2020.03.06 ナレッジ

ナレッジパートナー:越元 瑞樹


2. 港湾法の一部改正

第200回国会において港湾法の一部を改正する法律(内閣第十五号。以下「本改正法」といい、本改正法による改正後の港湾法を「改正港湾法」という。)が2019年11月29日付で成立し、2020年2月14日に全面的に施行された。本改正法によって、洋上風力発電に関連する事項としては、以下の2点について改正がなされている 。

(1) 海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾(基地港湾)の指定制度の創設(改正港湾法第2条の4関係)及び海洋再生可能エネルギー発電設備等取扱埠頭を構成する行政財産の貸付け制度の創設(改正港湾法第55条の2関係)
(2) 港湾区域内等の公募占用計画の認定の有効期間の延長(改正港湾法第37条の3第4項関係)

(1)については、前記の再エネ海域利用法の施行による洋上風力発電事業に関する一般海域の利用ルールの整備等を受けて、今後、一般海域における洋上風力発電事業の導入が促進される見込みであり、洋上風力発電設備の重厚長大な資機材を扱うための埠頭を長期・安定的に利用できる制度を整備する必要があること等が改正の背景とされている。

より具体的には、再エネ海域利用法上の一般海域における海洋再生可能エネルギー発電設備(再エネ海域利用法第2条第2項)並びに再生可能エネルギー源の利用に資する施設及び工作物(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(以下「再エネ特措法」という。)第2条第4項)に関し、必要な人員・物資の輸送のための基地港湾を政府が指定し[*6] 、基地港湾内の埠頭その他の港湾施設を発電事業者に貸し付ける制度を創設するものである(改正港湾法第2条の4)。

(2)については、2016年の港湾法改正時に創設された「占用公募制度」(港湾法第37条の3)につき、港湾区域の占用期間は20年と定められたが、再エネ特措法上の事業計画認定に基づき20年の調達期間に渡り洋上風力発電事業を行う事業者にとっては建設期間等の期間を含めた事業期間全体をカバーする期間としては不足する状況にあった。本改正は、上記最長20年とされてきた認定期間を、さらに10年間延長し、最長30年とするものである(改正港湾法第37条の3第4項)。この点、再エネ海域利用法上の一般海域における公募占用計画の認定事業者は一般海域の最長30年の占用が可能とされているが(再エネ海域利用法第10条第4項)、上記一般海域における認定期間と同様の期間とされたことになる。

[*6]2020年2月現在、秋田県内の港が指定されるのではないかと予想されており、当該指定により秋田周辺の洋上風力発電事業の促進に資することが期待される。

 

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