【寄稿】港湾法の一部改正 ー洋上風力発電事業の動向に着目してー

2019.12.28 ナレッジ

ナレッジパートナー:越元 瑞樹


5. 港湾区域内等の公募占用計画の認定の有効期間の延長(改正港湾法第37条の3第4項関係)

 前記の通り、2016年の港湾法改正時に港湾区域の占用公募制度が創設された(港湾法第37条の3)。これは、港湾管理者が策定した公募占用指針に基づき事業者から公募占用計画を募集し、最も適切な計画の提出者を選定して当該計画を認定し、当該認定計画に基づき当該事業者に長期の占用を許可する制度である[*14]。同制度の創設により、それ以前の1年から5年程度の条例に基づく占用許可よりも長期の港湾区域の占用を可能とする統一ルールが明確に定められ、さらに事業者選定手続の不明確性が解消され、地元漁業関係者等との間の関係者調整が可能となったところである。一方、港湾区域における公募占用計画の認定有効期間は20年とされていたが、2.(2)で記載した通り、これをより長期のものとすることが望まれていたところである。

 これを受けて、今回の港湾法改正における基地港湾制度創設に合わせ、港湾の開発、利用、保全との整合性の確保に留意しながら、港湾区域内における公募占用計画の認定の有効期間を30年に延長するものであると考えられる。

 これにより、港湾区域内における洋上風力発電事業の促進に資することとなると考えられる。

[*14]
国土交通省「港湾法の一部を改正する法律の概要(占用公募制度関係)」(http://www.mlit.go.jp/common/001157492.pdf、2019年12月25日最終閲覧)

6. 結語

 改正港湾法は令和元年12月6日に官報に掲載され公布されたため、同日から4月を超えない日に施行される(港湾法改正附則第1条本文)。但し、上記5.記載の港湾区域内等の公募占用計画の認定の有効期間の最長20年から30年への延長は公布日から施行されることとされている(港湾法改正附則第1条ただし書)。

 本改正法は、既に導入が進んでいる港湾区域内での洋上風力発電事業に加えて、現在着々と準備が行われている一般海域における洋上風力発電事業の促進を企図したものであると考えられる。本改正法による改正内容が洋上風力発電事業の促進に寄与することが望まれるところであり、また本改正法が洋上風力発電事業の実務に与える実際の影響も注目されるところである。

以上

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*アイキャッチ Photo by Grahame Jenkins on Unsplash

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