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【技術】大林組、洋上風力発電における2つの構造形式(着床式・浮体式)で建設技術を確立

2019.11.17 トピック


 2019年11月13日、株式会社大林組(以下、「大林組」)は洋上風力発電設備の構造形式である着床式と浮体式の2つで建設技術を確立したことを発表した。

(左:スカートサクション(*)による洋上風車基礎 右:テンションレグプラットフォーム型の浮体式洋上風力発電施設 出典:株式会社大林組)

(*)プレス記事より引用
スカートサクション:頂版および頂版から下方に伸びた円筒形の鉛直壁(スカート)で構成されており、スカート内からの排水によって発生するサクション(スカート内が静水圧以下になること)を利用して海底地盤に貫入させる。着床式であるモノパイルやジャケットの杭を打設する際に用いる大型の機械が不要となるため、無振動・無騒音で基礎の施工が可能

 風車の構造形式は大きく2つに分別されている。水深が浅い場合に採用される着床式と深い場合に採用される浮体式だ。着床式は風車の支柱が海底まで到達するのに対して、浮体式では海洋に風車自体が浮いている。このほど大林組は当該2つの構造形式で技術認証を取得し、独自技術を確立させた形となった。

 着床式では、実大規模(全高:33m、スカート長さ:8m、スカート径:12m)の「スカートサクション」を実際に洋上から水深13mの海中に設置・撤去し、適合性を実証した。実大規模で実際の波浪を受ける洋上に設置し、撤去まで実施したのは国内初。実証を通じて、当該建設技術は一般財団法人沿岸技術研究センターから港湾関連民間技術の確認審査技術評価証を取得した。

 一方の浮体式では、浮体を海底地盤に固定するアンカーにスカートサクションを採用した「テンションレグプラットフォーム型浮体式洋上風力発電施設」を考案し、一般財団法人日本海事協会から、一定の条件を規定することで当該施設の設計が可能であることを承認するAIP(設計基本承認)を取得した。

 浮体を係留させるためのテンションレグプラットフォーム型は浮体とそれと海底地盤に緊張係留するためのテンションレグ、テンションレグを海底地盤に固定するアンカーの3つから構成されている。今回AIPを取得した形式とカテナリー形式(*2)とを比較すると海域の専有面積を小さくできるのが強みで、係留材が少量で済むほか、洋上風車の動揺が小さいため発電効率が高くなるなどメリットが多い。

(*2)プレス記事より引用
 カテナリー形式 浮体に長い鎖を取り付け、鎖の自重によって富士山の稜線(りょうせん)状に湾曲した形状により浮体を保持する形式。一般に、鎖が三方あるいは四方に広がるように設置されるため、海底面の広い範囲を占有することになる。

*アイキャッチ 出典:株式会社大林組

【情報ソース】
洋上風力発電に関する着床式・浮体式2つの建設技術を確立しました 着床式において実大規模のスカートサクション®の設置、撤去を実証、2019年11月13日、株式会社大林組

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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