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【売買】上組、JICAからカンボジア王国・シハヌークビル港湾公社の株式11%を追加取得/ASEAN地域での港湾ターミナルネットワーク構築を推進

2019.06.03 事業参画・売買レポート


 2019年05月24日、株式会社上組(以下、「上組」)はカンボジア王国シハヌークビル港湾公社(Port Authority of Sihanoukville、以下、「PAS社」)の議決権付発行済株式総数の約11%を独立行政法人国際協力機構(以下、「JICA」)から取得したことを発表した。

 上組は2017年05月にPAS社の議決権付発行済株式総数の約2%を取得しているが、資本強化を目的に今回追加で取得した。これにより取得合計株式総数は約13%になった。今回の株式譲渡はJICAとの相対取引によるものであり、JICAは全保有株式を上組に譲渡し完全退出した形だ。

 2017年06月にSPA社がカンボジア証券取引所に上場した際に25%が売り出されたが、JICAは新規公開株式のうち戦略投資家への割当分として発行株式総数の13.5%を取得している。2018年08月に施行された「海外社会資本事業への我が国事業者の参入の促進に関する法律」に基づき、昨年12月に阪神国際港湾株式会社に議決権付発行済株式総数の2.5%を譲渡している。

 シハヌークビル港はカンボジアで唯一外洋に面した大水深港だ。港湾に隣接したシハヌークビル港経済特区も整備されている。貨物船は10,000重量トン級、タンカーは15,000重量トン級の船舶の入港が可能で、年間コンテナ貨物取扱量は2018年時点で約54.3万TEU(*)となっている。2013年時は約28.5万TEUであったことから、コンテナ取扱量は5年で約2倍となっており、平均増加率は10%超となる。コンテナ需要の増加に対応できるよう新たにコンテナ・ターミナルを建設する予定もある。

(*)TEUは、20フィートコンテナ1個分を「1TEU」とする貨物の単位量。

〇シハヌークビル港湾公社(Port Authority of Sihanoukville)の概要

所在地Sangkat No.3,Sihanoukville City,Preah Sihanouk Province,Kingdom of Cambodia
株式市場上場2017年06月08日(カンボジア証券取引所)
主要施設・コンテナバース:750m
・多目的バース:330m+200m
・在来線バース:290m
・客船バース:290m
・経済特別区(SEZ):70ha
・コンテナ蔵置能力:8,400TEU
・空コンテナヤード蔵置能力:3,000TEU
 

 JICAはカンボジアの内戦終結後初となる有償資金協力案件として、1999年に「シハヌークビル港緊急リハビリ事業」を供与し、それ以降も無償資金協力や技術協力を行うなど継続的に支援を実施してきた。2017年08月には「シハヌークビル港新コンテナターミナル整備事業」を対象に235億200万円を限度とする円借款貸付契約を締結しており、イグジット後も同港の発展に向けて協力を続ける方針だ。

*アイキャッチ Photo by Gyorgy Bakos on Unsplash

【情報ソース】
カンボジア王国シハヌークビル港湾公社への資本強化について、2019年05月24日、株式会社上組
カンボジア王国シハヌークビル港湾公社への資本参加について、2017年06月08日、株式会社上組
カンボジア・シハヌークビル港湾公社の株式を譲渡:日本の港湾関連企業と共に、カンボジアの貿易促進に貢献、2029年05月24日、独立行政法人国際協力機構

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