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【PFI】ミサワホームなど、神奈川県藤沢市でスマートウェルネス拠点を整備/PFIと定期借地を併用し、利便性向上と財政負担軽減を両立

2017.11.22 PFI


 2017年11月10日、ミサワホーム株式会社(以下、「ミサワホーム」)は神奈川県藤沢市が進める『藤沢市藤が岡2丁目地区再整備事業』に関して基本協定を締結し、同社初のPFI事業に参画することを発表した。

 当該事業は藤が岡2丁目地区にある老朽化した職員住宅や看護師寮の解体し、保育園の建て替えにあわせて近隣にある公共機能を集約させ、さらに民間収益施設を複合施設として一体で整備するものだ。藤沢市がPFI事業として事業者を公募し、今年の8月4日に審査結果を公表の上、優先交渉権者にミサワホームが参加しているグループを選定している。

 藤沢市は2014年に策定した「藤沢市公共施設再整備基本方針」等に基づき、所有する老朽化した施設を解体し安全性を確保すると共に、機能集約・複合化による公共施設整備を目指している。また、同市は 2016 年に策定した地方版総合戦略「ふじさわ『まち・ひと・しごと』ビジョン」の中 で、「高齢化率 40%になっても都市と市民生活の質的低下を招くことなく、都市を『元気』に持続 する」という基本方針も掲げている。

 そのような藤沢市の考え方や要望に対して、ミサワホームのグループは子育て支援、健康維持・介護予防、多世代交流という3つの観点から施設を構想した。提案されたのは『多世代が安心して健康に暮らせるスマートウェルネスを実現する拠点施設』だ。建替えの対象であった保育園の機能の他に、下記の公共機能と民間機能が同居する複合施設となっており、公共施設と民間収益施設の2棟が緩やかに分離された施設配置となっている。

・公共機能:子育て広場、放課後児童クラブ、こどもの家、集会所、コミュニティスペース、防災備蓄倉庫、駐車場、駐輪場
・民間機能:クリニック、薬局、放課後等デイサービス、フィットネス、小規模多機能居宅介護、イベントスペース

(全体計画図 出典:ミサワホーム株式会社)

 公共施設部分はBTO(Build-Transfer-Operate)方式で実施され、事業者は設計・建設が完了した後も、2041年3月31日まで施設の維持管理業務を実施する。民間収益施設部分はミサワホームが保有し、テナント誘致後、民間収益事業として運営する。民間収益施設に供する部分の土地に対しては藤沢市が定期借地権を設定した。事業期間中、ミサワホームは市が定めた貸付料を支払い、民間収益事業を実施する形だ。
 PFI事業と定期借地による賃貸借スキームを併用することで、余剰となるはずだった床面積を有効に活用し、地域住民の利便性を高めると同時に、市の財政負担の軽減に寄与する施設となりそうだ。

(民間施設と公共施設の機能イメージ 出典:ミサワホーム株式会社)

  当該事業への応募グループは地元企業4社が中心となったもので、代表企業は地元藤沢市で総合建設業を営む株式会社門倉組が務めている。構成企業は有限会社工匠、株式会社三橋設計、ミサワホーム株式会社。ミサワホームは今後、事業を進める特別目的会社(SPC)へ出資し、事業全体の統括と設計を担うほか、民間収益施設の保有・入居するテナントの選定など、施設の運営にも参画する。
 今回のPFI事業を足掛かりに、ミサワホームは地域の特性を踏まえた公的不動産の有効活用提案を積極的に推進し、地域に貢献できるまちづくりを目指すとしている。

(事業スキーム図 出典:ミサワホーム株式会社)

 【情報ソース】
神奈川県藤沢市と基本協定締結 ミサワホーム初のPFI事業に参画、2017年11月10日、ミサワホーム株式会社
地方版総合戦略(藤沢市まち・ひと・しごと総合戦略)、藤沢市

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デロイト トーマツ|インフラ・PPPアドバイザリー(IPA)
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