2024.03.28
【参画】住友商事・豊田通商・JOIN、上組が進めるミャンマー国のティラワ港ターミナル運営事業に出資参画/物流拠点のシフトに商機
2019.02.04 事業参画・売買レポート
2019年01月30日、住友商事株式会社(以下、「住友商事」)は豊田通商株式会社(以下、「豊田通商」)と株式会社海外交通・都市開発事業支援機構(以下、「JOIN」)とともに、ミャンマー国のティラワ港ターミナル運営事業に参画することを発表した。
当該事業はティラワ港Plot25&26に整備された多目的ターミナルを運営するものである。(同ターミナルは日本政府の有償資金協力(円借款)によって開発された。)港湾物流大手の株式会社上組(以下、「上組」)が2018年03月にミャンマー港湾公社とのコンセッション契約締結を経て、事業運営権を取得した。2019年02月に引き渡しを受け、2019年04月から運営開始の予定となっている。運営期間は38年間。
(位置図 出典:住友商事株式会社)
上組が新設した現地ターミナル運営会社『Thilawa Multipurpose International Terminal Company Limited』(以下、「TMIT」)に住友商事など3社は約2億円を出資する形で参画する。出資は3社が新たに設立する日本SPC(出資比率は住友商事が36%、豊田通商が34%、JOINが30%)を通じて実施する。出資後のTMITの株主構成及び出資比率は上組が51%、現地パートナーのEFRグループが14%、日本SPCが35%になる。
(事業スキーム 出典:株式会社海外交通・都市開発事業支援機構)
ミャンマーの貨物取扱量は既に年間100万TEU(*1)を超えており、過去5年間のコンテナ貨物取扱量は年率平均約20%のペースで伸びている。一方で、これまでミャンマー全体の約9割の貨物量を取り扱っていたヤンゴン本港は市街地と隣接しているということと、水深が浅く入出港時に潮待ち(*2)が必要であることから港の拡張には課題を抱えている。ティラワ港は大型の本線が着岸可能であり、また潮待ちが不要であることから効率よく貨物の受渡しが可能だ。ヤンゴン本港に対して地理的優位性を持つティラワ港への物流拠点機能のシフトに期待が集まっている。
(*1)TEUは、20フィートコンテナ1個分を「1TEU」とする貨物の単位量。
(*2)潮待ちとは船の航行に適した潮位を待つこと。ヤンゴン本港は入港時に2か所の砂州(インナーバー、アウターバー)で潮待ちする必要がある。
■ティラワ港ターミナル概要
・敷地面積 : 165,700平方メートル
・岸壁 : 400メートル(Plot25&26)
・ドラフト : 9メートル
・許容本船全長/載貨トン数 : 200メートル/20,000DWT
・取扱能力 : 年間約20~24万TEU
*アイキャッチ 出典:住友商事株式会社
【情報ソース】
・ミャンマー国における港湾ターミナル運営事業への出資参画について、2019年01月30日、住友商事株式会社(豊田通商株式会社との共同リリース)
・ミャンマー国 ティラワ港ターミナル運営事業への支援を決定(*PDFファイルが開きます、1,161KB)、2019年01月30日、株式会社海外交通・都市開発事業支援機構
・ミャンマー国ティラワ地区港に於ける港湾ターミナル運営権取得について、2018年04月06日、株式会社上組
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